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闘病の先輩へ恩返し 柔道女子57キロ級 津幡高・渕田選手

「病床の先輩にいい報告がしたい」。強い気持ちでけいこに打ち込む渕田萌生選手=石川県津幡町の津幡高で

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きょう全国選手権開幕「金で勇気を」

 日本一をつかむ。それが「先輩への恩返し」だ。東京都千代田区の日本武道館で十九日に開幕する柔道の全国高校選手権。石川県代表で女子57キロ級の渕田萌生(めぐみ)選手(16)=津幡高一年=は強い覚悟で頂点を狙う。「目標というか、あこがれの人」と慕う先輩は同県白山市の柔道家鍛冶宏美さん(36)。国内外で数々のタイトルに輝いた「最強の先輩」は今、競技を離れ、難病と闘う。「金メダルを取って勇気を届ける」 (前口憲幸)

 帯を締めると表情がキッとなる。内股に大内刈り、一本背負いなど繰り出す技は多彩で、寝技も得意。自ら課題を見つけ、克服しようとする「練習の虫」だ。

 そんな期待の星は鍛冶さんと同じ道を歩む。伝統の鶴来坂田道場(同県白山市)で競技を始め、地元の北辰中学校で頭角を現した。強豪の津幡高では鍛冶さんと同じ57キロ級で勝負する。

 先輩の存在を知ったのは小学生の時。道場に大きな額入り写真が飾ってあった。相手をにらむような目が「すごかった」。道着の着こなしが「かっこよかった」。その背中を追い、歯を食いしばって練習した。

鍛冶宏美さん

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 中学三年の時、鍛冶さんが鶴来坂田道場を訪れた。かつての学びやで、初めて打ち込みをした。先輩の襟を右手でつかんだ。その感覚が今も体に残る。無我夢中だったが「上手やね」と褒めてくれた。たった一言だけど「最高の宝物」だ。

 一方の鍛冶さんも、その時の打ち込みを覚えている。「力強かった。負けず嫌いな気持ちも伝わった」。脳腫瘍を患うが、病床では常に後輩を気に掛ける。

 迎える全国高校選手権は鍛冶さんが一、二年で連覇した舞台だ。渕田さんは言う。「優勝して先輩に追いつく。それが恩返し」。そう簡単に負けるわけにいかない。今度は自分が勇気を届ける番だと思っている。

鍛冶さんなら負けない 後輩寄せ書き

11人の女子部員が思いを込めた色紙。「絶対に病気に勝って」とつづった

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 全国高校選手権の女子団体戦に石川県代表として挑む津幡高の女子部員たちが、母校の先輩で闘病中の鍛冶宏美さんに寄せ書きの色紙を贈った。「あの強い鍛冶さんなら、病気に負けたりなんかしない」「元気になったら会いたい」−。部員十一人がつづったメッセージには、大好きな先輩への思いがあふれる。

 色紙の真ん中には帯を締め、前髪を結び、金メダルを首に掛けてほほ笑む鍛冶さんのイラスト。絵が得意な田中こころ主将(17)=二年=が、部室にあったアルバムから高校時代の鍛冶さんを見つけ、描いた。

 「津幡高一年で日本一になり、世界で戦った。そんな強い先輩だから、病気にも勝つと信じている」と田中主将。部員たちは「先輩に良い報告を」と結束しているという。

 

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