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【案内人の草笛】

小松市立 宮本三郎美術館 第1回デッサン大賞展

大賞「困った感じの人」中村俊樹さん

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学芸員 藤田京子さん

線1本に込めた“提案”

必須の作文 現代デッサン論集

−なぜ今、デッサン展を?

 宮本三郎の素描力に着眼しました。晩年「色彩の魔術師」といわれましたが、持って生まれた才能は最初から最後まで「線の画家」。線で表現することが抜群にうまかった。当館がやるとしたら、デッサンしかないかなと。1本の線からは無数の表現が生まれます。今デッサンを描けば、どんな表現ができるか提案をいただき、それを逆にここから発信したいと。すごくスリリングな企画です。もう一つは、デッサンがもの作りの原点だから。小松市は九谷焼やコマツなど、もの作りの土壌があり、ものを作る人たちの応援になればと。

描いた絵にしわを寄せて仕上げた宮本三郎記念賞「居ること」杉沢光さん

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−応募は600点を超えた!

 期待はしていましたが、こんなにも反響を呼ぶとは正直、思ってませんでした。驚きの連続です。石膏(せっこう)デッサンや自由に造形を追求した作品から時代の風潮や問題意識を打ち出そうとした作品など、多種多様なスタイルが見られました。審査員の酒井忠康先生が引用されたドガの言葉「デッサンはモノの見方の提案である」にうなずきます。みんな提案したくてたまらない時代。自分の表現を語りたいからこれだけ反響があったのでは。

−原稿用紙付き募集要項でした。

 表現への思いをよく文章にも書いた宮本画伯を記念するからこその課題です。1人だけ「自分は絵描きだから書くのはおかしい」と言ってこられたが、「その思いを書いて」と言うと「それなら書けます」と。みんな自分の言葉で書いていて、いま現在のデッサンの考え方集になりました。絵に添えた作文を読みに再来館の方も多いです。

優秀賞「風の中」楠野幸子さん

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−デッサンへの見方は変わった?

 宮本画伯はデッサンで画家の力量を見ることができると。私が手をたたきたくなったのは逆説的ですが“その通りに描きたい人”。本当はそれを打ち消すため企画したのに鉛筆1本の手技に見入ってしまいます。日本でスーパーリアリズムがはやるのは何でもありの時代への反動なのかもしれません。

 ◇第1回宮本三郎記念デッサン大賞展「明日の表現を拓(ひら)く」 12月4日(日)まで(会期中無休)▽優れた素描家だった洋画家宮本三郎(1905〜74)にちなみ創設されたビエンナーレ(隔年開催)展。著作も多い宮本にならい、制作意図や「デッサンの考え方」の作文が必須。海外を含め応募400人、計629点から入選57点▽審査員 美術評論家、世田谷美術館館長・酒井忠康氏、銅版画家・山本容子氏、美術家・横尾忠則氏

【ギャラリークルーズ3】26日(土)時後2申不要¥入館料

 宮本三郎美術館 小松市小馬出町5▽JR小松駅から徒歩15分¥一般400/大学200/65歳以上100/高校以下無料(電)0761(20)3600

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 ふじた きょうこ 南山大卒、同大大学院文学修士課程修了。徳川美術館(名古屋市)学芸部を経て小松市学芸員。担当した主な展覧会は「美人画の夢」(本陣記念美術館)、「四季にはたらく」(宮本三郎美術館)など

 

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