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【読書De討論】石川県金沢市森本中3年 芥川龍之介著 「蜘蛛の糸」を読んで

「蜘蛛(くも)の糸(いと)」を読(よ)んで話(はな)し合(あ)う生徒(せいと)たち((左)から中村(なかむら)さん、矢田(やだ)さん、本田(ほんだ)さん、吉村(よしむら)さん)=石川県金沢市森本(いしかわけんかなざわしもりもと)中学校で

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 今回(こんかい)は、本を読(よ)んで感想(かんそう)を話(はな)し合(あ)う「読書De討論(どくしょデとうろん)」をお届(とど)けします。石川県金沢市森本(いしかわけんかなざわしもりもと)中学校三年の生徒(せいと)たちに芥川龍之介著(あくたがわりゅうのすけちょ)「蜘蛛(くも)の糸(いと)」を読んでもらいました。生徒たちはどう感(かん)じたのでしょうか。

今回の論点(ろんてん)

・カンダタはどんな男か。お釈迦様(しゃかさま)はどうして蜘蛛(くも)の糸(いと)をたらしたのか。

・蜘蛛の糸についてどう考(かんが)えるか

・みんなはカンダタだったら、どうするか。作者(さくしゃ)はこの小説(しょうせつ)で何を言いたかったのか。

出席者

吉村(よしむら) 直希(なおき)さん

本田(ほんだ) 千紘(ちひろ)さん

矢田(やだ) 春輝(はるき)さん

中村(なかむら) 彩梨奈(さりな)さん

一度だけの善に光

芥川龍之介の「蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ」(岩波文庫)

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−カンダタとは、どんな人間(にんげん)か。お釈迦様(しゃかさま)はどうしてカンダタに蜘蛛(くも)の糸(いと)をたらしたのか。

 本田(ほんだ) カンダタはとても悪(わる)い男(おとこ)。人を殺(ころ)したり、家(いえ)に火(ひ)を付(つ)けたり、いろいろ悪事(あくじ)を働(はたら)いてきた大泥棒(おおどろぼう)。その報(むく)いで、地獄(じごく)に落(お)ちて、血(ち)の池(いけ)で浮(う)いたり沈(しず)んだりしてもがいていた。

 中村(なかむら) でも、たった一度(ど)だけいいことをした。道端(みちばた)をはう蜘蛛を「命(いのち)をむやみにとるのはかわいそうだ」と情(なさ)けをかけて踏(ふ)み殺さなかったこと。

 吉村(よしむら) お釈迦様(しゃかさま)は、そのことを思(おも)い出(だ)した。この男を地獄(じごく)から救(すく)い出したいと、極楽(ごくらく)から蜘蛛の糸をたらした。少しでも良心(りょうしん)がある人ならば、地獄から救い出してやりたいと。

 矢田(やだ) カンダタが蜘蛛の糸をみて、地獄の苦(くる)しみから、逃(のが)れられると思った。カンダタのうれしそうな様子(ようす)が目に浮(う)かぶようだ。

助け合う心大切なのに

−お釈迦様がカンダタを救おうとたらした蜘蛛の糸。みんなはこの糸についてどう考えるか。

 矢田 お釈迦様は本気でカンダタを助けたいと考えていなかったと思う。本気で助(たす)けるなら、はしごか階段(かいだん)を使(つか)う。か細い蜘蛛の糸をたらすなんて、考えられない。

 吉村 カンダタはさんざん悪事を働いた男だけど、蜘蛛を救った優(やさ)しい一面(めん)があった。どんな悪い人間でも少しはいいところがある。お釈迦様はそれを大切にした。

 本田 蜘蛛の糸の代(か)わりに、太いロープがよかった。だけど、それでは、カンダタが蜘蛛を助けた意味(いみ)がない。蜘蛛を助けたからこそ、恩返(おんがえ)しの意味で蜘蛛の糸をたらしたんだ。

 中村 お釈迦様はカンダタを試(ため)したんだ。すぐに切れそうな糸で。地獄で改心(かいしん)して良心(りょうしん)をもつ人間になったか。他人(たにん)のことも考えるようになったか。みんなとともに蜘蛛の糸をのぼってくれば助けるし、一人だけ助かろうとすれば、地獄に逆戻(ぎゃくもど)りさせると。結局(けっきょく)、自分だけ助かろうとしたカンダタは、蜘蛛の糸が切れて地獄に落ちてしまった。

「自分勝手」責められない

−みんなはカンダタなら、どうしただろう。

 矢田 カンダタはお釈迦様の期待(きたい)を裏切(うらぎ)った。せっかく、救いの手をさしのべたのに、カンダタは「自分だけ助かりたい」と、他人(たにん)のことはまったく考えなかった。自分勝手(じぶんかって)な心は変(か)わっていなかった。自分の行動(こうどう)がめぐりめぐって人を助(たす)けるかもしれないし、苦(くる)しめるかもしれない。この小説はそう言っているようだ。

 本田 カンダタを責(せ)めてはいけないよ。後(うし)ろから続(つづ)いてくる大勢(おおぜい)の人たちの重(おも)みで糸が切れてしまう。たいていの人は「切れてしまう」と心配(しんぱい)する。自分だけでも助かりたいと考えるのは悪いことではない。私(わたし)もカンダタだったら、きっと同じことを考える。

 吉村 僕(ぼく)なら、自分だけ助かろうとはしない。後ろからよじのぼって来る人たちも助けたい。他(ほか)の人たちも助かる方法(ほうほう)がないかを考える。お互(たが)いに助け合うことが大切(たいせつ)だと思う。

 中村 どんな人間でもときには善人(ぜんにん)の心をもったり、悪人(あくにん)の心をもったりする。そしてどんな状況(じょうきょう)になっても冷静(れいせい)に他人のことも考えろと、作者(さくしゃ)の芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)は言いたかったと思う。 (構成(こうせい)・浦上豊成(うらかみほうせい))

感想

吉村(よしむら) みんなの意見(いけん)、感想(かんそう)を聞くと、読(よ)む人にとっていろいろな見方(みかた)があるんだと思(おも)った。

本田(ほんだ) みんなの感想が、それぞれちょっとずつちがっていて、考えが深(ふか)まったし、楽(たの)しかった。

矢田(やだ) みんなと話(はな)し合うことによって、あやふやだった自分の考(かんが)えや意見が固(かた)まってきた。

中村(なかむら) カンダタはそんなに自分勝手(じぶんかって)かな。あの時は多くの人が自分だけでも助(たす)かりたいと考える。

 蜘蛛(くも)の糸(いと) 主(おも)に大正時代(たいしょうじだい)に活躍(かつやく)した芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)(1892〜1927年)が1918年に発表(はっぴょう)した少年少女向(しょうねんしょうじょむ)け短編作品(たんぺんさくひん)。主人公(しゅじんこう)のカンダタは人を殺(ころ)したり、家(いえ)に火(ひ)を付(つ)けたりといろいろ悪事(あくじ)を働(はたら)いてきた大泥棒(おおどろぼう)。地獄(じごく)に落(お)ちて血(ち)の池(いけ)でもがいていた。それを見たお釈迦様(しゃかさま)が、カンダタが以前(いぜん)、蜘蛛を助(たす)けたことを思い出して、カンダタを地獄から救(すく)おうとした。極楽(ごくらく)からたらされた蜘蛛の糸につかまりのぼり始(はじ)めたカンダタ。だが、あとから大勢(おおぜい)の人がこの糸につかまってのぼってくるのをみて「下(お)りろ、下りろ」とわめいた途端(とたん)、糸が切れた。カンダタは真(ま)っ逆(さか)さまに地獄に落ちていった。善悪(ぜんあく)、仏教思想(ぶっきょうしそう)を踏(ふ)まえて示唆(しさ)に富(と)んだ作品である。

 

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