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【読書De討論】石川県金沢市紫錦台中3年 宮沢賢治著 「銀河鉄道の夜」を読んで

宮沢賢治著(みやざわけんじちょ)、「銀河鉄道(ぎんがてつどう)の夜(よる)」を読(よ)んで話(はな)し合(あ)う生徒(せいと)たち(左から浜村(はまむら)さん、弥久保(やくぼ)さん、三谷(みたに)さん、七浦(ななうら)さん)=石川県金沢市紫錦台(いしかわけんかなざわししきんだい)中学校で

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 今回(こんかい)は、本を読(よ)んで感想(かんそう)を話(はな)し合う「読書De討論(どくしょデとうろん)」をお届(とど)けします。石川県金沢市紫錦台(いしかわけんかなざわししきんだい)中学校三年の生徒(せいと)たちに詩人(しじん)で童話作家(どうわさっか)の宮沢賢治著(みやざわけんじちょ)「銀河鉄道(ぎんがてつどう)の夜(よる)」を読んでもらいました。作品(さくひん)を読んで生徒たちはどう感(かん)じたのでしょうか。

今回の論点(ろんてん)

・ジョバンニ、カムパネルラ、ザネリの人柄(ひとがら)、関係(かんけい)はどのようなものだったか。

・銀河鉄道(ぎんがてつどう)はジョバンニ、カムパネルラにとってどんな旅(たび)だったか。

・「ほんとうの幸(しあわ)せはいったいなんだろう」とつぶやいたジョバンニ、みんなはどう考えるか。

出席者

七浦(ななうら) 佑佳(ゆうか)さん

三谷(みたに) 裕希(ゆうき)さん

弥久保碧瑚(やくぼあこ)さん

浜村(はまむら) 康介(こうすけ)さん

思いやりが幸せ生む

宮沢賢治著(みやざわけんじちょ)「銀河鉄道(ぎんがてつどう)の夜(よる)」(岩波少年文庫(いわなみしょうねんぶんこ))

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 −主人公(しゅじんこう)のジョバンニや友人(ゆうじん)のカムパネルラ、ザネリの性格(せいかく)や三人の関係(かんけい)はどうなんだろう。

 浜村(はまむら) ジョバンニは父親が家にいないし、母親は病気(びょうき)がち。貧(まず)しくて学校が終(お)わると、仕事(しごと)をしながら母親の面倒(めんどう)をみている。まじめな少年(しょうねん)だ。

 七浦(ななうら) カムパネルラはジョバンニの数少(かずすく)ない友人で、相手(あいて)を思いやる気持(きも)ちがある優(やさ)しい少年。仲間(なかま)がジョバンニの悪口(わるぐち)を言っても、決(けっ)して口にしないし、ジョバンニとは話(はなし)をしなくても、お互(たが)いの気持ちが通(つう)じ合(あ)う。

 三谷(みたに) ザネリはとても意地(いじ)が悪(わる)くて、仲間と一緒(いっしょ)にジョバンニをいつもからかっている。

 弥久保(やくぼ) カムパネルラは、とても優しい。でも、私(わたし)から見ると少し弱々(よわよわ)しい。ザネリがジョバンニがいじめているとき、ばつの悪そうな顔をするだけ。親友なら助(たす)けないといけない。

人と話して考え深める

 −ジョバンニは銀河鉄道(ぎんがてつどう)で天空(てんくう)の旅(たび)に出(で)た。みんなはこの旅に何を感(かん)じたか。

 三谷 旅に出たジョバンニ。窓(まど)からいろんな星が見えて、神秘的(しんぴてき)な風景(ふうけい)が広がる。いつの間にか、カムパネルラも乗っている。旅で、出会った人たちと話すうち、ジョバンニの考えが深(ふか)まっていく。

 七浦 「いったいどれが一番の幸(しあわ)せなのか、本当にいいことをしたら、母親が許(ゆる)してくれると思う」。カムパネルラがつぶやいた言葉(ことば)が忘(わす)れられない。あとでわかったが、このときはカムパネルラは死(し)んでいた。

 弥久保 カムパネルラはザネリが川におぼれたのを助けたけど、代(か)わりに自分が流(なが)されて死んだ。カムパネルラは、自分の行為(こうい)を母親は許してくれるのかと自問(じもん)した。自分が一番いいことをしたから、母親はきっと許してくれる。そう確信(かくしん)したんだ。

 浜村 カムパネルラは、生きていた方が良(よ)かったと僕(ぼく)は思う。母親にとって子どもが生きていることが一番。好(す)きでもないザネリのために死ぬなんて。まだカムパネルラの死が、よかったのか、僕にはわからない。

「自己犠牲」尊いが難しい

 −旅の中で、船とともに沈(しず)んだ青年(せいねん)やサソリが身(み)を焼(や)いて闇(やみ)を照(て)らす物語(ものがたり)を通し、「本当の幸せは何だろう」と改(あらた)めて問(と)いかけているが、どう思う。

 三谷 氷山(ひょうざん)にぶつかって船が沈み、二人の姉弟(きょうだい)とともに青年はおぼれて死んでしまった。青年は他(ほか)の子どもたちを押(お)しのけてボートに姉弟を乗せることはできなかった。自分たちがおぼれても他の人が助かればいいと考えたんだ。  

 七浦 物語は他人(たにん)の幸せのために、自分を犠牲(ぎせい)にする「自己(じこ)犠牲」がテーマだ。旅をしながらジョバンニは自己犠牲に目覚(めざ)めた。「サソリのようにみんなの幸せのためなら、僕の体なんて百ぺん焼いてもかまわない」と言っている。

 浜村 「自己犠牲」って口で言うのは、簡単(かんたん)だけど、行動(こうどう)するのは、とても難(むずか)しいと思う。誰(だれ)にでもほどこす「自己犠牲」は尊(とうと)いが、僕にはとてもできない。でも、いいことなんだと思う。

 弥久保 物語の最後(さいご)で、カムパネルラは死んじゃった。好きでもないザネリのために。自分が不幸(ふこう)になっても、他人が幸せになれば、それはとても立派(りっぱ)な行(おこな)い。自分のことだけ考えるのではなく、他人のことも思いやろう、と宮沢賢治は訴(うった)えているんだ。

  (構成(こうせい)・浦上豊成(うらかみほうせい))

感想

弥久保(やくぼ) 宮沢賢治(みやざわけんじ)はあまり親(した)しみはないが、物語(ものがた)で何を伝(つた)えたかったのか読(よ)み取(と)れたと思う。

三谷(みたに) 作品(さくひん)はちょっと難(むずか)しいと感(かん)じたが、みんなと一緒(いっしょ)に読んで話(はな)したら、内容(ないよう)がよくわかった。

七浦(ななうら) 他人(たにん)のために自分を犠牲(ぎせい)にするのはなかなかできないけど、カムパネルラの気持(きも)ちはわかる。

浜村(はまむら) 物語を読んでいたら、本当の幸(しあわ)せは何だろうか、と深く考えさせられた。

 銀河鉄道(ぎんがてつどう)の夜(よる) 詩人(しじん)、童話作家(どうわさっか)の宮沢賢治(みやざわけんじ)(1896〜1933年(ねん))の最高傑作(さいこうけっさく)と称(しょう)される童話。ケンタウル祭(さい)の夜、銀河鉄道に乗(の)って天空(てんくう)に旅立(たびだ)ったジョバンニとカムパネルラの悲(かな)しくも美(うつく)しい夏の夜を幻想的(げんそうてき)に描(えが)いた。

 宮沢賢治は岩手県花巻市(いわてけんはなまきし)に生(う)まれ、盛岡高等農林(もりおかこうとうのうりん)学校に学(まな)んだ。土壌(どじょう)の研究者(けんきゅうしゃ)でもあり、仕事(しごと)をしながら、詩(し)や童話の創作(そうさく)に励(はげ)み、1924年、詩集(ししゅう)「春(はる)と修羅(しゅら)」、童話集(しゅう)「注文(ちゅうもん)の多い料理店(りょうりてん)」を自費出版(じひしゅっぱん)。病気(びょうき)のため、37歳(さい)で死去(しきょ)。没後(ぼつご)、評価(ひょうか)が高まり、数々(かずかず)の童話、詩集が刊行(かんこう)された。

 

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