トップ > 北陸中日新聞から > マナビバ > ニュースDe討論 > 記事

ここから本文

ニュースDe討論

【読書De討論】石川県金沢市野田中3年 芥川龍之介著 「芋粥」を読んで

「芋粥(いもがゆ)」について話(はな)し合う生徒(せいと)たち((左)から岡本(おかもと)さん、長岡(ながおか)さん、小松(こまつ)さん、蔭田(かげた)さん)=石川県金沢(けんかなざわ)市野田(のだ)中学校で

写真

 今回は、本を読んで感想(かんそう)を話(はな)し合う「読書De討論(どくしょデとうろん)」をお届(とど)けします。石川県金沢(けんかなざわ)市野田(のだ)中学校三年の生徒(せいと)たちに芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)の短編小説(たんぺんしょうせつ)「芋粥(いもがゆ)」を読んでもらいました。作品(さくひん)を生徒たちはどう感(かん)じたのでしょうか。 

今回の論点(ろんてん)

・主人公(しゅじんこう)の「五位(ごい)」はどんな風貌(ふうぼう)、人柄(ひとがら)か。

・「五位」にとって「芋粥(いもがゆ)」は何なのか。

・思わぬことで、飽(あ)きるほど芋粥を食べられることになった「五位」の心情(しんじょう)はどう変化(へんか)していくか。

出席者

蔭田(かげた) 明音(あかね)さん

小松(こまつ)  伸(しん)さん

長岡(ながおか) 桃圭(ももか)さん

岡本(おかもと)  昴(こう)さん

芥川龍之介著(あくたがわりゅうのすけちょ)、「羅生門(らしょうもん)・鼻(はな)・芋粥(いもがゆ)」(角川文庫(かどかわぶんこ))

写真

夢かなって幸せか

 −主人公(しゅじんこう)の「五位(ごい)」はどんな風貌(ふうぼう)、人柄(ひとがら)か。「五位」にとって、芋粥(いもがゆ)は何だったのか。

 岡本(おかもと) 「五位」は、平凡(へいぼん)で、目立(めだ)たず、だらしなく、さえない男に描(えが)かれている。宮廷(きゅうてい)の仲間(なかま)からも冷(ひ)ややかな目で見られ、子どもからもばかにされるほど。

 長岡(ながおか) でも、子どもたちにいじめられていた犬を助(たす)けようとした。弱いものや弱(よわ)い立場(たちば)の人に対(たい)して「優(やさ)しさ」もある。そんな「五位」がひそかに抱(だ)いていたのが、芋粥を飽(あ)きるほど食べること。宮廷での身分(みぶん)は低(ひく)く、お金もない。腹(はら)いっぱい芋粥を食べることがささやかな望(のぞ)みだった。

 蔭田(かげた) 「五位」は素直(すなお)でいちずな人間なんだろう。だから、芋粥を飽きるほど食べることが人生(じんせい)の支(ささ)えであり、目標(もくひょう)になっていた。

 小松(こまつ) 作者(さくしゃ)は「人間は時として、満(み)たされるか満たされないか分からない欲望(よくぼう)のために一生(いっしょう)をささげてしまう」とあり、ささやかな欲望だとわらってはいけないんだ。

自分の努力あればこそ

 −宮廷で官職(かんしょく)が上位(じょうい)の男から、芋粥を腹いっぱい食べさせようと屋敷(やしき)に誘(さそ)われた。芋粥に対し、「五位」の心情(しんじょう)はどう変化(へんか)していったか。

 小松 上役(うわやく)の男は、「五位」を見下(みくだ)しており、みんなの前で笑(わら)いものにするために望みをかなえようといったんだ。意地(いじ)が悪(わる)い。「五位」は断(ことわ)ることもできず、芋粥を食べに行った。

 長岡 屋敷に招(まね)かれると、釜(かま)にたくさんつくられていた芋粥。しかし、「五位」はあれだけ望んだ芋粥を食べたくなくなった。夢(ゆめ)が実現(じつげん)したのだけど、何か違(ちが)うと感(かん)じ、物足りなく思ったんだ。

 岡本 「五位」は自分が情(なさ)けなくなったんだろう。食欲(しょくよく)もうせ、目が覚(さ)めたんだ。望みや目標は達成(たっせい)されると、色あせたのかも。

 蔭田 少しの努力(どりょく)もせずに芋粥がたらふく食べることができても、うまく感じるはずがない。自分の力で苦労(くろう)して手に入れた芋粥こそうまいんだ。

色あせて次の願い生む

 −「五位」は、この後、どう生きていくと思うか。みんなも似(に)たような体験(たいけん)はないか。

 岡本 「五位」はこれで執着(しゅうちゃく)していた芋粥から解(と)き放(はな)たれた。きっと、新たなステップに進(すす)んでいくだろう。僕(ぼく)は化石収集(かせきしゅうしゅう)が好(す)きだが、せっかくお金をためて手に入れた化石も期待(きたい)したほどの喜(よろこ)びはなかった。また別(べつ)の化石がほしくなる。そんな感じ。

 長岡 部活(ぶかつ)の合唱部(がっしょうぶ)がコンクールで目標の金賞(きんしょう)をとったとき。とってしまえば、うれしいより、次(つぎ)のコンクールで上位に入れるのか不安(ふあん)が先立った。そんな体験が「五位」と似ている。

 小松 物語(ものがたり)と同(おな)じような体験と言えば、春休み、夏休みが近づくと、ウキウキしていろいろ計画を立てる。でも、休みに入ると、早く過(す)ぎてしまい、何もしないで終(お)わってしまう。これかな。

 蔭田 家族旅行(かぞくりょこう)の前に計画したり、準備(じゅんび)したり、わくわくする。当日(とうじつ)になり、これで終わるかと思うと楽しくなくなる。「五位」と同じ気持(きも)ちかも。経験(けいけん)を積(つ)めば、新たな目標ができるから、「五位」も芋粥から別の目標を見つけ、これまでと違った人生を送(おく)るに違いない。

  (企画(きかく)・浦上豊成(うらかみほうせい))

感想

蔭田(かげた) 教科書(きょうかしょ)に載(の)っている小説(しょうせつ)より長く、一生懸命読(いっしょうけんめいよ)んだ。読む力(ちから)がついたようだ。

小松(こまつ) 芋粥(いもがゆ)から「自立(じりつ)」した主人公(しゅじんこう)がこれからどう変(か)わっていくのか、想像(そうぞう)するだけで楽(たの)しい。

長岡(ながおか) みんなと話(はな)し合っているうちに主人公の人柄(ひとがら)や心情(しんじょう)が伝(つた)わってきた。別(べつ)の物語(ものがたり)も読んでみたい。

岡本(おかもと) 文章(ぶんしょう)がとても難(むずか)しく感(かん)じた。だけど、みんなと一緒(いっしょ)に話しあう中で、内容(ないよう)がわかってきた。

 芋粥(いもがゆ)  主(おも)に大正時代(たいしょうじだい)に活躍(かつやく)した芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)(1892年〜1927年)の短編小説(たんぺんしょうせつ)。「今昔物語(こんじゃくものがたり)」に素材(そざい)を求(もと)めた。平安期(へいあんき)、摂政(せっしょう)に仕(つか)える「五位(ごい)」が主人公(しゅじんこう)。臆病(おくびょう)で風采(ふうさい)が上がらないが、芋粥を飽(あ)きるほど食べてみたいというひそやかな望(のぞ)みがあった。これを聞きつけた上役(うわやく)が望みをかなえてあげようと、「五位」を屋敷(やしき)に招(まね)き、芋粥を大量(たいりょう)に作って食べさせようとする。しかし「五位」はあれだけ望んでいた芋粥をおわんに半分しか食べられなかった。

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索