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【読書De討論】石川県金沢市西南部中2年 原民喜著「夏の花」を読んで 

原民喜(はらたみき)の「夏(なつ)の花(はな)」を読(よ)んで話(はな)し合(あ)う生徒(せいと)たち((左)から秋島(あきしま)さん、牧口(まきぐち)さん、西川(にしかわ)さん、石川(いしかわ)さん)=石川県金沢(けんかなざわ)市西南部(せいなんぶ)中学校で

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 今回(こんかい)は、本を読(よ)んで感想(かんそう)を話(はな)し合(あ)う「読書De討論(どくしょデとうろん)」をお届(とど)けします。石川県金沢(けんかなざわ)市西南部(せいなんぶ)中学校二年の生徒(せいと)たちに、原爆投下直後(げんばくとうかちょくご)の広島(ひろしま)の悲惨(ひさん)な状況(じょうきょう)をえがいた原民喜(はらたみき)の「夏(なつ)の花(はな)」を読んでもらいました。生徒たちはどのように感(かん)じたのでしょうか。

今回の論点(ろんてん)

・小説(しょうせつ)のどの部分(ぶぶん)が印象(いんしょう)に残(のこ)ったか。

・作者(さくしゃ)はなぜこんな小説を書(か)いたのか。

・世界(せかい)から核兵器(かくへいき)をなくすにはどうしたらいいか

出席者

 石川(いしかわ) 汐音(しおね)さん

 西川(にしかわ) 侑汰(ゆうた)さん

 牧口(まきぐち)  遥(はるか)さん

 秋島(あきしま) 大成(たいせい)さん

原民喜著(はらたみきちょ)、「夏(なつ)の花(はな)」(岩波文庫(いわなみぶんこ))

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原爆の悲惨さ伝えねば

 −この小説(しょうせつ)を読(よ)んで、みんなはどの部分(ぶぶん)が印象(いんしょう)に残(のこ)ったか。

 西川(にしかわ) 原爆(げんばく)を投下(とうか)された直後(ちょくご)の広島(ひろしま)の惨状(さんじょう)が生々(なまなま)しい。「男であるのか、女であるのか、ほとんど区別(くべつ)もつかないほど、顔(かお)がくちゃくちゃに膨(ふく)れ上がって::」の描写(びょうしゃ)が忘(わす)れられない。悲惨(ひさん)な言葉(ことば)が並(なら)ぶが、不思議(ふしぎ)と一語(いちご)一語が澄(す)み切って受(う)け取(と)れた。

 秋島(あきしま) 「ギラギラノ破片(はへん)ヤ灰白色(かいはくしょく)の燃(も)エガラガヒロビロトシタパノラマノヨウニ アカクヤケタダレタニンゲンノ死体(したい)ノキミョウナリズム……」。小説の中にあったこの詩(し)が最初(さいしょ)に目にとまった。原爆で倒壊(とうかい)した街(まち)のあちこちに、きな臭(くさ)いにおいが立ち込(こ)め、鼻(はな)をつく感じが伝わる。

 牧口(まきぐち) 道(みち)や川や橋(はし)のところどころに死体があり、「これは精巧緻密(せいこうちみつ)な方法(ほうほう)で実現(じつげん)された新地獄(しんじごく)に違(ちが)いない」とある。すごい表現(ひょうげん)だ。

 石川(いしかわ) 作者(さくしゃ)の兄がおいの文彦(ふみひこ)の死体を見つけた。死体に名札(なふだ)をつけてから、埋葬(まいそう)もせずに、立ち去(さ)る。「涙(なみだ)も乾(かわ)きはてた遭遇(そうぐう)だった」とある。あちこちに転(ころ)がる死体に慣(な)れてしまい、悲(かな)しむ気持(きも)ちもまひしてしまったのだろう。

作者の使命感が分かる

 −この本を読んだ感想(かんそう)はどうか。作者は何を言いたかったのだろう。

 牧口 原爆はとても怖(こわ)いと思った。原爆一個(こ)で死(し)ななくていい人(ひと)が大勢(おおぜい)死ぬ。大きな街一つが跡形(あとかた)もなく壊(こわ)れてしまう。戦争(せんそう)は二度(にど)としてはいけない。作者はそう言いたかった。

 石川 被災(ひさい)地の真(ま)っただ中で、作者は運良(うんよ)く生き延(の)びた。この状況(じょうきょう)を書き留(と)めておかねばならない−と使命(しめい)のような気持ちだったに違(ちが)いない。それが作者が生き延びた意味(いみ)なんだ。

 秋島 僕(ぼく)は小学五年のとき、家族(かぞく)で広島に旅(たび)した。原爆ドームや平和記念資料館(へいわきねんしりょうかん)も見学(けんがく)し、原爆投下の様子(ようす)を肌(はだ)で感(かん)じた。小説にえがかれている地獄(じごく)が、目に浮(う)かぶよう。

 西川 きっと使命感みたいな気持ちで、小説を書いたのだと思う。この状況を書き留(と)めて後世(こうせい)に残(のこ)しなさい−と、神様(かみさま)が作者に伝(つた)えたのだと思う。

核なんて意味がない

 −世界(せかい)では、核兵器(かくへいき)はいっこうになくならない。どうしたら、世界から核がなくなると思うか。

 西川 北朝鮮(きたちょうせん)が核開発(かいはつ)に取り組(く)んでいるというニュースを聞く。小国(しょうこく)が、大国(たいこく)とわたり合うために核を持とうとする。決(けっ)して許(ゆる)せることではない。核を保有(ほゆう)している大国が、核で威嚇(いかく)しながら、「言うことを聞け」というのもなんかヘンな話だ。

 石川 核を保有することが、国をよくすることと考えること自体(じたい)、間違(まちが)い。原爆の悲惨さをえがいたこの小説を世界の人々(ひとびと)にもっと読んでもらいたい。核を持ちたいとは誰(だれ)も思わなくなるはずだ。

 牧口 人間に欲望(よくぼう)がある限(かぎ)り、争(あらそ)いは絶(た)えず、核開発も終(お)わらない。欲望を捨(す)てればいい。きっと戦争はなくなるし、核なんて持つ意味がなくなる。

 秋島 でも、人間が欲望を捨てるのは難(むずか)しい。争いはどうしても起(お)きる。最初に武器(ぶき)を持ち出すから、戦争となり、核保有(かくほゆう)へと向(む)かっていく。武器じゃなく、スポーツで勝(か)ち負(ま)けを決めればいい。そのうちみんなが「核開発なんて危険(きけん)だし、ばかばかしい」、そう思うようになれば、しめたものだ。

  (構成(こうせい)・浦上豊成(うらかみほうせい))

感想

石川(いしかわ) 他人(たにん)への思いやりが大切(たいせつ)。思いやりがあれば、原爆(げんばく)は絶対使(ぜったいつか)わない。

西川(にしかわ) みんなの感想(かんそう)や意見(いけん)を聞けたので、とても勉強(べんきょう)になった。

牧口(まきぐち) 小説(しょうせつ)を読んで、核兵器(かくへいき)を持(も)ってはならないとあらためて思った。

秋島(あきしま) 日本は世界(せかい)で唯一(ゆいいつ)の被爆国(ひばくこく)。核の恐怖(きょうふ)を世界中(せかいじゅう)に発信(はっしん)したい。

 夏(なつ)の花(はな)  広島県出身(ひろしまけんしゅっしん)の詩人(しじん)、作家(さっか)である原民喜(はらたみき)(1905−1951年)が1945年8月6日、広島で被爆(ひばく)したときの体験(たいけん)をえがいた。原爆投下(げんばくとうか)から3日間の見聞(けんぶん)を、正確冷静(せいかくれいせい)に書(か)き留(と)めた「原爆被災時(ひさいじ)のノート」が「夏の花」の原型をなしている。過酷(かこく)な原爆投下後の状況(じょうきょう)は、原爆描写(びょうしゃ)の小説(しょうせつ)などが少(すく)ないことから、評価(ひょうか)が高いという。「夏の花」のほか、「廃墟(はいきょ)から」「壊滅(かいめつ)の序曲(じょきょく)」を含(ふく)め、3部(ぶ)作と言われ、原が被災(ひさい)後、ひどい衰弱(すいじゃく)と飢餓(きが)の中で書き上げた。

 

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