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【読書De討論】石川県白山市北星中2年 芥川龍之介著 「羅生門」を読んで

芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)の「羅生門(らしょうもん)」を読んで話(はな)し合う生徒(せいと)たち((左)から大峯(おおみね)さん、森田(もりた)さん、新村(しんむら)さん、北間(きたま)さん)=石川県白山(けんはくさん)市北星(ほくせい)中学校で

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 今回は、本を読んで感想(かんそう)を話(はな)し合う「読書(どくしょ)De討論(とうろん)」をお届(とど)けします。石川県白山(けんはくさん)市北星(ほくせい)中学校二年の生徒(せいと)たちに、芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)の初期(しょき)の短編小説(たんぺんしょうせつ)「羅生門(らしょうもん)」を読んでもらいました。生徒たちはどのように感(かん)じたのでしょうか。

今回の論点(ろんてん)

・主人公(しゅじんこう)の男は羅生門(らしょうもん)で老婆(ろうば)に会う前、どんな境遇(きょうぐう)で何を考えていたか。

・男は老婆に会ってどうして考えが変(か)わったか。

・男の行為(こうい)をどう考える。作者(さくしゃ)は何を言いたかったのか。

出席者

 北間(きたま) 嵩人(たけと)さん

 新村(しんむら) 航輝(こうき)さん

 森田(もりた) 成実(なるみ)さん

 大峯(おおみね) 華乃(はるの)さん

芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)著、「羅生門(らしょうもん)・鼻(はな)」(新潮文庫(しんちょうぶんこ))

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人間の弱さ許せるか

 −主人公(しゅじんこう)の下人(げにん)(身分(みぶん)の低(ひく)い男)は、羅生門(らしょうもん)で雨宿(あまやど)りをしているとき、どんな境遇(きょうぐう)で、何を考えていたか。

 北間(きたま) 男は長年、仕(つか)えていた主人(しゅじん)から暇(いとま)を出され、行くところがなくて途方(とほう)に暮(く)れていた。羅生門で雨宿りしていたときは、行き場所(ばしょ)がなくて、途方に暮れていたんだ。

 森田(もりた) 食(く)うに困(こま)って生きるか死(し)ぬかの瀬戸際(せとぎわ)だった。そのときは盗人(ぬすびと)になるくらいなら、死んだ方がいい。そんな正義感(せいぎかん)があった。

 新村(しんむら) 雨宿りしているときは良心(りょうしん)がまだ残(のこ)っていて、悪事(あくじ)はいけないと思っていた。そんなところは人間らしく、親(した)しみが持(も)てた。

 大峯(おおみね) 男は、迷(まよ)っていたんだ。生きるために盗人になるのかどうか。飢(う)え死にしても、盗人には、なるまいという強い気持(きも)ちが勝(まさ)っていた。

自分勝手も生き抜くため

 −男は老婆(ろうば)に出会(であ)い、どうして考えが変(か)わったか。

 大峯 老婆は女の死体(したい)から抜(ぬ)いた髪(かみ)の毛を売って、生きてきた。「死んだ女も生きるために悪事を働(はたら)いていた。だから、自分も生き延(の)びるために、悪事を働いても女は許(ゆる)してくれるだろう」−と老婆は身勝手(みがって)な言い訳(わけ)を口にしている。私(わたし)だったら、そんなことはしないし、決(けっ)して許される行為(こうい)だとは思わない。

 新村 当時(とうじ)、京都(きょうと)は火事(かじ)や飢饉(ききん)が続(つづ)き、ひどくさびれている。人々(ひとびと)はまともに生きていけない。老婆がどんなことをしても生き抜こうとする強さ、したたかさを感じる。

 森田 はじめ男は老婆に、かなり怒(いか)っていた。老婆の話を聞いているうち、逆(ぎゃく)にどんなことをしても生きなければならないと思った。老婆の自分勝手(じぶんかって)な論理(ろんり)に共感(きょうかん)したのかな。男の正義感は、しっかりしたものじゃなかったんだ。

 北間 結局(けっきょく)、男は老婆の着物(きもの)をはぎとり、盗人になった。物語(ものがたり)では、男に「ある勇気(ゆうき)」がわいたとある。それが本当の勇気とは思えないけど、生きるためには盗人でも何でもしようと決心(けっしん)した。老婆のせいで、迷いが吹(ふ)っ切れたんだ。

信念は曲げたくない

 −みんなは男の行為をどう思うか。作者(さくしゃ)は何を言いたかったのだろう。

 新村 男は、羅生門で、見てはいけない人間の裏(うら)の姿(すがた)をみてしまった。これまで守(まも)ってきた自分の信念(しんねん)を曲(ま)げてしまうほどの。人間の信念は弱いものだと作者は言いたかったに違(ちが)いない。

 森田 人間は、ふだんは善人(ぜんにん)ぶっているが、一皮(ひとかわ)むいたら、自分勝手な生き物(もの)だと、物語は言っているようだ。だけど、それでは、ちょっと寂(さび)しすぎる。私は、最後(さいご)まで信念や良心を貫(つらぬ)いて生きたいな。

 北間 生きるために必死(ひっし)な老婆を見ているうち、死にたくなくなった男。老婆から着物を盗(ぬす)んでも、老婆なら分かってもらえるはずだ。男は自分勝手にそう思い込(こ)んだのに違いない。小説には書いてないが、一度(ど)、人生(じんせい)を踏(ふ)み外(はず)した男はこれからずっと盗人を続けたんじゃないかな。

 大峯 男は、入りたくないと思っていた悪(あく)の道に、入ってしまった。これでは、老婆と、同じ仲間(なかま)。善人ぶっても、人間は自分のことしか考えないと作者は言いたかったのか。でも、もともと男は、心優(やさ)しかったのだから、盗人を続けてもらいたくない。

  (構成(こうせい)・浦上豊成(うらかみほうせい)) 

感想

北間(きたま) みんなで同じ小説(しょうせつ)を読んで、感想(かんそう)や意見(いけん)を出し合うので、自分の考えが深(ふか)まった。

新村(しんむら) 短(みじか)い小説だけど、男や老婆(ろうば)の考えを読みとるのが難(むずか)しかった。

森田(もりた) 読んだことはない小説だが、じっくり読んでみて面白(おもしろ)かった。

大峯(おおみね) 一人一人(ひとりひとり)の感想を聞くと、いろんな見方、考え方があると関心(かんしん)した。

 羅生門(らしょうもん) 主(おも)に大正時代(じだい)に活躍(かつやく)した芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)(1892〜1927年)が1915年に発表(はっぴょう)した短編傑作(たんぺんけっさく)。平安(へいあん)時代後期(こうき)の説話集(せつわしゅう)「今昔物語集(こんじゃくものがたりしゅう)」から素材(そざい)を求(もと)めた。平安末期(まっき)の荒廃(こうはい)した都(みやこ)(京都(きょうと))が舞台(ぶたい)。主人(しゅじん)から暇(いとま)を出され、行き場所(ばしょ)をなくした男が、飢(う)えに直面(ちょくめん)する中、荒(あ)れ果(は)てた羅生門で、死人(しにん)の髪(かみ)の毛を引き抜(ぬ)いている老婆(ろうば)を目撃(もくげき)する。老婆とのやりとりの中で、男は生き延(の)びる道を見つける。善悪(ぜんあく)を超越(ちょうえつ)した物語が描(えが)かれている。芥川が新しい領域(りょういき)を開(ひら)くことになる歴史小説(れきししょうせつ)の記念碑的(きねんひてき)な作品(さくひん)とされる。

 

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