トップ > 北陸中日新聞から > マナビバ > ニュースDe討論 > 記事

ここから本文

ニュースDe討論

【読書De討論】石川県七尾市七尾中3年 吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」を読んで

「君(きみ)たちはどう生きるか」について話(はな)し合う生徒(せいと)たち((左)から田中(たなか)さん、西村(にしむら)さん、小林(こばやし)さん、田端(たばた)さん)=石川県七尾(けんななお)市七尾中学校で

写真

 新聞記事(きじ)について話(はな)し合(あ)う「ニュースDe討論(デとうろん)」の特別編(とくべつへん)として今回、本を読んだ感想(かんそう)を話し合う「読書(どくしょ)De討論」をお届(とど)けします。石川県七尾(けんななお)市七尾中学校三年の生徒(せいと)たちに吉野源三郎著(よしのげんざぶろうちょ)「君(きみ)たちはどう生きるか」の第(だい)一編(ぺん)から第四編まで読(よ)んでもらいました。戦前(せんぜん)から現在(げんざい)まで長(なが)く読み継(つ)がれている本です。生徒たちはどう感(かん)じたのでしょうか。

今回の論点(ろんてん)

・コペル君(くん)が「人間は分子(ぶんし)」と感(かん)じたことや叔父(おじ)さんが説(と)いた「天動説(てんどうせつ)・地動説(ちどうせつ)の考(かんが)え方」についてどう思うか。

・「立派(りっぱ)な人」と「立派そうに見える人」の違(ちが)いは?

・人間の価値(かち)とは? どんな生き方をしたいか。

出席者

 田端(たばた) 千愛(ちなり)さん

 小林(こばやし)  稜(りょう)さん

 西村(にしむら) 成葉(なるは)さん

 田中(たなか) 雅大(まさひろ)さん

吉野源三郎著(よしのげんざぶろうちょ)「君(きみ)たちはどう生きるか」(岩波文庫(いわなみぶんこ))

写真

広く深く考える人に

 −第(だい)一編(ぺん)「へんな経験(けいけん)」の中で、主人公(しゅじんこう)のコペル君(くん)が「人間分子(ぶんし)の関係(かんけい)」に気付(きづ)いたり、コペル君の叔父(おじ)さんが「天動説(てんどうせつ)・地動説(ちどうせつ)の考え方」を説(と)いた。みんなはどう思うか。

 田端(たばた) コペル君はデパートの屋上(おくじょう)から下を見た光景(こうけい)に「人間は分子だ」と感(かん)じた。叔父さんは「人間はみんな、広い世(よ)の中の一分子。みんなが集(あつ)まって、世の中を作っている」と言っている。コペル君の考えが深(ふか)くなった。

 田中(たなか) コペル君は、自分中心から客観的(きゃっかんてき)に物事(ものごと)を見るようになった。僕(ぼく)と同(おな)じような年齢(ねんれい)だけど、なんだかすごい大人(おとな)になったよう。

 西村(にしむら) 叔父さんが天動説と地動説の考え方をコペル君に話(はな)している。天動説の考え方は、自分中心的、地動説は、自分だけじゃなく相手(あいて)のことも考える。私(わたし)はどうだろう。家族(かぞく)や友人(ゆうじん)とけんかすると、怒(いか)りにまかせて、相手のことを悪(わる)く言う。これが天動説。あとで冷静(れいせい)になって、自分も悪かったなと思う。これが地動説の考えかな。ずっと地動説でいたいな。

 小林(こばやし) 星占(うらな)いの番組を毎日テレビで見ている。僕はかに座(ざ)。かに座のことをよく言われると、うれしい。でも、かに座の人はたくさんいるから、自分だけよくなるはずがない。これは自分勝手(かって)だから、天動説の考え。こんなことで一喜一憂(いっきいちゆう)せず、地動説の考え方を持ちたい。

人は「世の中の一分子」

 −第二編「勇(いさ)ましき友」では、叔父さんが「立派(りっぱ)な人」と「立派そうに見える人」の違(ちが)いについて話している。みんなはこの部分を読んでどう思ったか。

 田中 「立派な人」は心から感じたことや心を動(うご)かされたことを大切にする。「立派そうに見える人」は自分が人の目にどう映(うつ)るかを一番気にし、本当の自分が何なのかをお留守(るす)にしてしまう。叔父さんはそう言っている。

 西村 私が思う「立派な人」は、周(まわ)りやその立場(たちば)に流(なが)されず、自分でしっかり判断(はんだん)する。「立派そうに見える人」は富(とみ)と名声(めいせい)にこだわる人。

 小林 私は、「立派な人」は、裏表(うらおもて)がない人、「立派そうに見える人」は裏表があり、本当の自分を隠(かく)している人だと思う。

 田端 「立派そうに見える人」より「立派な人」に絶対(ぜったい)、なりたい。誰(だれ)にも分け隔(へだ)てなく接(せっ)して、自分を犠牲(ぎせい)にできて、優(やさ)しい心をもつ、そんな人に。

自分も相手も同じく大切

 −第一編から四編まで読んでみて、人間の価値(かち)とは何だと思うか。みんなはどんな生き方をしたいか。

 小林 コペル君は自分中心の考えから、相手のことも考える幅(はば)の広い人になった。僕も相手の目線に立って、物事(ものごと)を考え、考えをはっきり主張(しゅちょう)できる人になりたい。

 田端 私は自分の心に素直(すなお)になって、世の中の常識(じょうしき)をもちたい。そして「ありがとう」「ごめんなさい」と言える素直(すなお)で優(やさ)しい人がいい。 

 田中 狭(せま)い考えに縛(しば)られて、井(い)の中の蛙(かわず)になりたくない。コペル君にならって、これからいろんな経験を積(つ)んで、自分の生きている意義(いぎ)をつかむ。

 西村 人に気に入れられようとしたり、自分の本心を隠して生きるのは、つまらない。自分の気持(きも)ちに正直(しょうじき)で、他人(たにん)のことも考える人。そして、コペル君のように純粋(じゅんすい)な探求心(たんきゅうしん)も持(も)ち続けたいな。

  (構成(こうせい)・浦上豊成(うらかみほうせい))

感想

 田端(たばた) 本を読んでみると、改(あらた)めてこれからどう生きたいか考えることができた。

 小林(こばやし) 同じ本を読んでも一人一人感想(かんそう)が違(ちが)った。他人(たにん)の意見(いけん)も尊重(そんちょう)し、考えを深(ふか)めたい。

 西村(にしむら) 本を一生懸命(いっしょうけんめい)読んだら、エネルギーを使(つか)った。でも、登場人物(とうじょうじんぶつ)の考えが少しはつかめたかな。

 田中(たなか) 本を読んで話(はな)し合うのは国語(こくご)の授業(じゅぎょう)ぐらいだったので、大変(たいへん)いい経験(けいけん)になった。 

 君(きみ)たちはどう生きるか  編集者(へんしゅうしゃ)、児童(じどう)文学者でもある吉野源三郎(よしのげんざぶろう)(1899−1981年)が著(あらわ)した少年少女向(しょうねんしょうじょむ)けの本。主人公(しゅじんこう)は、コペル君というあだ名をもつ15歳(さい)の中学生。10の短編(たんぺん)を通じて、コペル君が早くに父親を亡(な)くして、相談相手(そうだんあいて)となっている叔父(おじ)さんとの語り合いを通じて、精神的(せいしんてき)に成長(せいちょう)していく姿(すがた)を描(えが)いた。戦前(せんぜん)の1937年、「日本少国民文庫(しょうこくみんぶんこ)」全(ぜん)16巻(かん)の最終配本(さいしゅうはいほん)として刊行(かんこう)された。戦前(せんぜん)のファシズムが荒(あ)れ狂(くる)う中、ヒューマニズムの精神を守(まも)り、人生(じんせい)をいかに生きるべきかを少年少女に問(と)い掛(か)けた。今回は「へんな経験(けいけん)」「勇(いさ)ましき友」「ニュートンの林檎(りんご)と粉(こな)ミルク」「貧(まず)しき友」の4編を読んでもらった。

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索