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【読書De討論】石川県金沢市小将町中3年 芥川龍之介著 「杜子春」を読んで 

芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)の「杜子春(とししゅん)」を読んで話(はな)し合う生徒(せいと)たち((左)から西田(にしだ)さん、皆川(みながわ)さん、山本(やまもと)さん、安藤(あんどう)さん) =石川県金沢(けんかなざわ)市小将町(こしょうまち)中学校で

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大切なものは身近に

 新聞記事(きじ)について中学生が話(はな)し合う「ニュースDe討論(とうろん)」の特別編(とくべつへん)として今回、本を読(よ)んで印象(いんしょう)や感想(かんそう)を話し合う「読書(どくしょ)De討論」をお届(とど)けします。石川県金沢(けんかなざわ)市小将町(こしょうまち)中学校三年の生徒(せいと)たちに芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)の「杜子春(とししゅん)」を読んでもらいました。生徒たちはどのように感(かん)じたのでしょうか。

今回の論点(ろんてん)

・主人公(しゅじんこう)の杜子春(とししゅん)が金持(かねも)ちになったり、貧乏(びんぼう)になったりを繰(く)り返(かえ)す生き方をどう思うか。

・杜子春はどうして仙人(せんにん)になろうと思ったのか。

・杜子春はあと一歩(いっぽ)のところで仙人にはなれなかったが、それをどう考えるか。人間らしい生き方(かた)とは何だろう。

出席者

安藤(あんどう) 友香(ゆうか)さん

山本(やまもと)  空(くう)さん

皆川紗里奈(みながわさりな)さん

西田(にしだ) 圭太(けいた)さん

仙人は人間を試した?

 −仙人(せんにん)のおかげで、貧乏(びんぼう)から何度も金持(かねも)ちになった杜子春(とししゅん)。でも結局(けっきょく)、貧乏に逆戻(ぎゃくもど)りしてしまう。そんな杜子春の生き方をどう思う。

 安藤(あんどう) 杜子春はもともと金持ちの息子(むすこ)だが、財産(ざいさん)を使(つか)い果(は)たして貧乏になった。仙人は、そんな杜子春にチャンスを与(あた)え、裕福(ゆうふく)にした。しかし、二回も同じ失敗(しっぱい)を繰(く)り返(かえ)した。金持ちから貧乏を繰り返すところまではとても恥(は)ずかしい生き方だ。

 山本(やまもと) 仙人は、人間を試(ため)してみようと、なかば遊(あそ)び感覚(かんかく)で杜子春の願いをきいたのかもしれない。人間というものはバカなのか、利口(りこう)なのか。

 皆川(みながわ) 金持ちになることだけが、立派(りっぱ)なことじゃないんだと、仙人は杜子春に分かってほしかった。杜子春は、気付(きづ)くのが少し遅(おそ)すぎた。

 西田(にしだ) 杜子春は、願いを仙人に聞き入れてもらった。ぜいたくの限(かぎ)りを尽(つ)くし、貧乏に逆戻りした杜子春にはあきれる。杜子春にとって、仙人はお金をもらえる「いい人(ひと)」にすぎなかったのかな。

お金より愛情選びたい

芥川龍之介著(あくたがわりゅうのすけちょ)、「蜘蛛(くも)の糸(いと)・杜子春(とししゅん)」(新潮文庫(しんちょうぶんこ))

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 −杜子春はどうして仙人になろうと思ったのか。

西田 杜子春は、金持ちや貧乏を繰り返しているうちに、人間の薄情(はくじょう)さに思い知らされた。人間がいやになった。そんな人間と、しゃべりたくないから、仙人になろうと決意(けつい)した。

 皆川 金を持(も)っているときは、人間はにこにこして周(まわ)りに寄ってくる。一文無(いちもんな)しになると、手のひらを返(かえ)す。宿(やど)を貸(か)してくれたり、水を恵(めぐ)んでくれたりする者(もの)もいない。あいさつもしてくれない。人間につくづく愛想(あいそ)がつきたんだ。

 安藤 人間を薄情と決(き)め付(つ)けるのはどうか。誰(だれ)でも、得(とく)になるから、近づく、得にならなければ、近づかない。それは昔(むかし)も今も同じ。お金を目当てに、人が集まるのだと、杜子春はもっと早く気付くべきだった。 

 山本 杜子春は人間のあらゆる欲望(よくぼう)を超(こ)えて、仙人のような徳(とく)の高い人になりたかったのだろう。

 −修行(しゅぎょう)を積(つ)んだが、結局、仙人になれなかった杜子春を、みんなはどう思うか。人間らしい生き方って何だろう。

 山本 修行中、仙人の約束(やくそく)をしっかり守(まも)り、誰とも口をきかなかった。でも、地獄(じごく)で鞭(むち)を打(う)たれている父母を見た。苦しみの中にも子どもを思う母親の愛情の言葉に思わず声を出した。ほんの少しで仙人になれたのに。仙人になるより、愛情(あいじょう)に触(ふ)れながら、人間らしく生きる方を選(えら)んだ。

 皆川 杜子春は、母親の深(ふか)い愛情にやっと気付いた。どんな境遇(きょうぐう)でも変(か)わらない肉親の愛情。お金持ちになることでもなく、徳の高い仙人になるのでもなく。人間らしい生き方は、私にとって自分の心に素直(すなお)になって生きることだ。

 安藤 杜子春は仙人修行を通して、人生(じんせい)で最(もっと)も大切なものに気付いた。人間らしい正直(しょうじき)な暮らしがいいと。私も、お金も必要(ひつよう)な分はほしいけれど、人の愛情に触れて、普通(ふつう)の人間として生きたい。

 西田 限りあるお金と、限りのない愛情。人間にとって大切なものは愛なんだと思った。僕(ぼく)らの中で一番大切なものは、実(じつ)は身近(みぢか)なところにあるようだ。自分に素直に生きたいと思う。 (構成(こうせい)・浦上豊成(うらかみほうせい))

 杜子春(とししゅん)  主(おも)に大正時代(たいしょうじだい)に活躍(かつやく)した芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)(1892〜1927年)の代表作(だいひょうさく)の一つ。中国の伝記(でんき)「杜子春伝(とししゅんでん)」を踏(ふ)まえて童話(どうわ)にした。主人公(しゅじんこう)の杜子春はその日暮(ぐ)らしの生活をしていた。あるとき、仙人(せんにん)に出会(であ)い金持ちになる願いを2回かなえてもらった。やがて、また貧乏(びんぼう)暮らしに戻(もど)った杜子春は、お金がないと薄情(はくじょう)になる人間に嫌気(いやけ)がさして仙人になりたいと、仙人に頼(たの)んで修行(しゅぎょう)をした。修行は、どんなことがあっても口をきかないこと。杜子春は殺(ころ)されて地獄(じごく)に落(お)ちても黙(だま)っていた。しかし、地獄で母親の深(ふか)い愛情(あいじょう)に触(ふ)れて、「お母(かあ)さん」と声(こえ)を出した。杜子春は仙人にはなれなかったが、「人間らしい正直(しょうじき)な暮(く)らしをしたい」と晴(は)れ晴(ば)れとしていた。芥川の児童文学中(じどうぶんがくちゅう)、「蜘蛛(くも)の糸(いと)」と並(なら)ぶ名作(めいさく)といわれる。

感想

 安藤(あんどう) 小学生のとき、読(よ)んだ。いま読んでみたら、また違(ちが)った感想(かんそう)を持(も)ったし、新鮮に感じた。

 山本(やまもと) 短編(たんぺん)だが、味(あじ)のある小説(しょうせつ)。芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)らしく、わかりやすく、中身(なかみ)がある。

 皆川(みなかわ) 人の生き方で、大切なのは愛情(あいじょう)なんだと、この本を読んであらためて思った。

 西田(にしだ) 同じ本を読んでも、人によって少しずつ感想(かんそう)や視点(してん)が違(ちが)うと思った。見方が広がった。

 

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