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【読書De討論】石川県加賀市錦城中3年 ヘルマン・ヘッセ著「車輪の下」を読んで 

ヘルマン・ヘッセの「車輪(しゃりん)の下(した)」を読(よ)んで話(はな)し合う生徒(せいと)たち((左)から浅井(あさい)さん、堂前(どうまえ)さん、上野(うえの)さん、山本(やまもと)さん)=石川県加賀(けんかが)市錦城(きんじょう)中学校で

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生きる上の重荷共感

 新聞記事(きじ)について中学生が話(はな)し合う「ニュースDe討論(デとうろん)」の特別編(とくべつへん)として今回、本を読んで印象(いんしょう)や感想(かんそう)を話し合う「読書(どくしょ)De討論」をお届(とど)けします。石川県加賀(けんかが)市錦城(きんじょう)中学校三年の生徒(せいと)たちにヘルマン・ヘッセの「車輪(しゃりん)の下(した)」を読(よ)んでもらいました。生徒たちはどのように感(かん)じたのでしょうか。

今回の論点(ろんてん)

・主人公(しゅじんこう)のハンスの生き方をどう思うか。

・ハンスを取(と)り巻(ま)く人々(ひとびと)についてどう思うか。

・この小説(しょうせつ)について共感(きょうかん)するところ、魅力(みりょく)は何だろう。

出席者

山本(やまもと) 咲耶(さくや)さん

上野(うえの) 一志(かずし)さん

堂前(どうまえ) 季良(きら)さん

浅井(あさい) 翔喜(しょうき)さん

期待背負う誇らしさある

 −主人公(しゅじんこう)、ハンスの生き方についてどう思うか。

 山本(やまもと) ハンスは家族(かぞく)や周(まわ)りの人の期待(きたい)を背負(せお)って生きてきた。そのため、周りの人の目が気になって仕方(しかた)がなかった。だから、結局(けっきょく)、精神(せいしん)も肉体もぼろぼろになった。ときには周りを気にせず、自分の考えを貫(つらぬ)く強い意志(いし)をもっていれば挫折(ざせつ)しなかったと思う。

 上野 「勉強(べんきょう)で一番になってほしい」という町の人たちの気持(きも)ちが分かる。僕(ぼく)も「嫌(いや)だ」と内心(ないしん)思っていてもときには断(ことわ)れないでやってしまう。一方(いっぽう)で、ハンスは町の人たちを見下(みくだ)しているところもあり、それはあまり好(す)きじゃない。

 堂前(どうまえ) ハンスはテストの成績(せいせき)が落(お)ちれば、あせって、もっと勉強しないといけないと思う。私(わたし)もそれは同じで、共感(きょうかん)が持(も)てる。父親や周りの人に気遣(きづか)うだけでなく、勇気(ゆうき)を出して自分の意見(いけん)を言えば、惨(みじ)めに死(し)んでしまうこともなかったはず。

 浅井(あさい) ハンスが神(しん)学校で規則(きそく)ずくめなのがいやで、苦(くる)しんだのはわかる。でも、苦労(くろう)して進学(しんがく)した神学校を、やめたのはどうかな。少し我慢(がまん)すれば、学校もやめずにすんだろうし、人生(じんせい)は変(か)わっていた。

自分の考え貫いていい

 −ハンスの周囲(しゅうい)に登場(とうじょう)する人物(じんぶつ)に何を感(かん)じたか。

 山本 父親のヨオゼフは、ハンスの生き方に一番の影響(えいきょう)を与(あた)えた人。息子(むすこ)を誇(ほこ)りに思っているが、愛情(あいじょう)より自分の考えや理想(りそう)を息子に押(お)しつけてばかり。自分の意見をはっきり言えない息子にした。

 浅井 息子思いだが、神学校にいってほしい、えらくなってほしい、と自分の思いを息子に求(もと)めすぎ、ハンスの行動(こうどう)を抑(おさ)えつけた。愛情があるのなら、ハンスの生き方を認(みと)めればいいのに。 

 上野 もう一人、重要(じゅうよう)な人物が神学校の友人(ゆうじん)ハイルナア。ハンスとは性格(せいかく)と生き方が正反対(せいはんたい)。自由(じゆう)気ままで、ハンスにとっては、「世界(せかい)にこんな魅力的(みりょくてき)な人がいるのか」と感動(かんどう)したと思うよ。  

堂前 ハイルナアのいいところは、反抗(はんこう)する勇気、自分の意見を言える勇気があった。神学校を放校(ほうこう)になっても、最後(さいご)まで自分の生きたい道を貫いたところがいい。私も少しあこがれる。ハンスも、ハイルナアの影響を受(う)けたのなら、自分の考えをずっと貫けばよかった。

ヘルマン・ヘッセ著(ちょ)、実吉捷●訳(さねよしはやおやく)「車輪(しゃりん)の下(した)」(岩波文庫(いわなみぶんこ))

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 −この小説(しょうせつ)は、どの点が共感を受けていると思うか。

 浅井 ハンスは、ずっと周りから期待という重荷(おもに)を背負い続(つづ)けてきた。ときには生きるのがつらかっただろう。世(よ)の中にも、いろんな重荷を背負って、生き続けている人がいる。そんな人たちから共感を得(え)ているんだ。

 堂前 この小説の読者(どくしゃ)はハンスと同じ十代(だい)の若者(わかもの)から四十、五十代まで読んでいると思う。若者は親や先生の考えと合わずに苦しんでいるとき。だから、この小説に共感する。大人(おとな)は、若(わか)いころの自分に重(かさ)ね合わせながら読むだろう。

 上野 僕らも親からいろいろ言われる年齢(ねんれい)だし、悩(なや)むときもある。ハンスと似(に)たような気持ちの変化(へんか)や挫折感は持っている。若者の気持ちを表現(ひょうげん)しているんじゃないかな。

 山本 親は子どもを幸(しあわ)せにしたいから、あれこれ言う。だけど、子どもにしてみると、わかってくれないと思うときもあるし、親の言うことを聞いてばかりいると、息苦(いきぐる)しくなってしまう。それは昔(むかし)も現代(げんだい)も同じ。だから、この小説に共感する人が多いと思う。

 (構成(こうせい)・浦上豊成(うらかみほうせい))

 車輪(しゃりん)の下(した) ドイツのノーベル文学賞作家(しょうさっか)、ヘルマン・ヘッセ(1877〜1962年)の代表作(だいひょうさく)。主人公(しゅじんこう)のハンスは、故郷(こきょう)の期待(きたい)を背負(せお)って、誇(ほこ)りと喜(よろこ)びにあふれて首都(しゅと)の神(しん)学校に入学した。しかし、そこで見たものは詰(つ)め込(こ)み主義(しゅぎ)の教育(きょういく)と規則(きそく)ずくめの寄宿舎(きしゅくしゃ)生活だった。ハンスとは性格(せいかく)が正反対(せいはんたい)で、多感(たかん)で反抗的(はんこうてき)なハイルナアと知り合い、友情(ゆうじょう)を深(ふか)めるが、ハイルナアは放校(ほうこう)となった。神学校の生活に疲(つか)れ果(は)てて故郷に戻(もど)ったハンスは機械工(きかいこう)として働(はたら)き始(はじ)めた。が、まもなく、川に遺体(いたい)で浮(う)かぶ。「車輪の下」(社会の重圧(じゅうあつ))にあえなく傷(きず)つく少年の魂(たましい)を描(えが)いた。

感想

山本(やまもと) 登場人物(とうじょうじんぶつ)の考え方や見方が興味深(きょうみぶか)く、「自分だったらどうするのか」と自問自答(じもんじとう)してみた。

上野(うえの) 漫画(まんが)や絵(え)と違(ちが)って、小説(しょうせつ)は文字(もじ)で表現(ひょうげん)されているので、より深(ふか)みがあり、身近(みぢか)な芸術(げいじゅつ)だ。

堂前(どうまえ) この本は少し難(むずか)しい内容(ないよう)だったが、よく読むと自分の生き方の種(たね)になった。

浅井(あさい) 小説はいろんな考えや意見(いけん)に出合えるので、きっと自分の人生(じんせい)にプラスになる。

 

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