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ニュースDe討論

石川県金沢市医王山中1、2年 「山椒魚」(井伏鱒二著)を読んで 

井伏鱒二(いぶせますじ)の「山椒魚(さんしょううお)」を読(よ)んで話(はな)し合(あ)う生徒(せいと)たち((左)から長田(ながた)さん、丸山(まるやま)さん、斉藤(さいとう)さん、長谷川(はせがわ)さん)=石川県金沢(けんかなざわ)市医王山(いおうぜん)中学校で

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許し合って生きる

 新聞記事(きじ)について中学生が議論(ぎろん)を繰(く)り広げる「ニュースDe討論(デとうろん)」の特別編(とくべつへん)として、今回も、本を読んで印象(いんしょう)や感想(かんそう)を話(はな)し合う「読書(どくしょ)De討論」をお届(とど)けします。石川県金沢(けんかなざわ)市医王山(いおうぜん)中学校一、二年の生徒(せいと)たちに井伏鱒二(いぶせますじ)の「山椒魚(さんしょううお)」を読んでもらいました。生徒たちはどのように感(かん)じたのでしょうか。

今回の論点(ろんてん)

・主人公(しゅじんこう)のサンショウウオは、どんな性格(せいかく)だろうか。

・サンショウウオは小魚(こざかな)、小エビ、カエルをどう思ったのだろう。

・この本の面白(おもしろ)さは何だろう。

出席者

長谷川夏希(はせがわなつき)さん(一年)

斉藤(さいとう)  蓮(れん)さん(二年)

丸山結莉子(まるやまゆりこ)さん(一年)

長田(ながた) 昴大(こうだい)さん(二年)

弱い面あるから強がる

 −主人公(しゅじんこう)のサンショウウオは、どんな状況(じょうきょう)に置(お)かれているのか。小魚(こざかな)や小エビ、カエルとの関係(かんけい)はどうなんだろう。

 長田(ながた) サンショウウオが二年間、岩屋(いわや)の中にいたら、体が大きくなりすぎて岩屋の外に出られなくなった。小魚や小エビを不自由(ふじゆう)な生き物(もの)だと、ばかにしていた。しかし、自分がもっと不自由になってしまったことに絶望(ぜつぼう)してしまう。なんだかもの悲(がな)しい小説(しょうせつ)だ。

 丸山(まるやま) サンショウウオは岩屋から出られなくなった二年間、何をボケッとしてたんだろう。そして岩屋に入ってきたカエルを閉じ込め、二年間も言い争うのも、考えられない。

 斉藤(さいとう) 僕は、カエルはサンショウウオを励ましに来たんだと思う。それを閉じ込めたのだから、ひどい。サンショウウオは自業自得(じごうじとく)だ。 

 長谷川(はせがわ) そう、サンショウウオはカエルを岩屋に閉(と)じ込(こ)め、自分と同じ状況に置こうとした。とても意地悪(いじわる)だ。でも、なんだかかわいそうに思えて憎(にく)めないところもある。

井伏鱒二(いぶせますじ)著「山椒魚(さんしょううお)・遥拝隊長(ようはいたいちょう)」(岩波文庫(いわなみぶんこ))

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 −サンショウウオはどんな性格(せいかく)なんだろう。

 丸山 岩屋から出る方法(ほうほう)がないのに、「いよいよ出られないというならば、おれにも相当(そうとう)な考えがあるんだよ」と強(つよ)がっている。でも、何の方法も浮(う)かばない。相当、見えっ張(ぱ)りでかっこつけだよ。

 長谷川 小魚を眺(なが)めながら「なんと不自由千万(ふじゆうせんばん)なやつら」と言ってみたり、小エビを見て「くったく(くよくよ)したり、物思(ものおも)いにふけったりするやつは、ばかだよ」と言っている。自己中(じこちゅう)(自己中心的(ちゅうしんてき))で、「上から目線」のところがあり、下の者(もの)をばかにする。いやなタイプだ。

 斉藤 サンショウウオは岩屋から出られないことが分かると、「ああ神様(かみさま)! あなたは情(なさ)けないことをなさいます」と涙(なみだ)を流(なが)した。誇(ほこ)り高いだけに、情けなくてしょうがなかったんだろう。

 長田 「虫けら同然(どうぜん)」とばかにしていた小魚や小エビよりもっと不自由だと分かった。絶望するのも分かる気がする。「諸君(しょくん)は、このサンショウウオを嘲笑(ちょうしょう)してはいけない」と作者(さくしゃ)も書いている。

関わり持つほど心温かく

 −この小説の面白(おもしろ)さ、サンショウウオに共感(きょうかん)できるところは何だろう。

 丸山 他人(たにん)を鼻(はな)で笑(わら)って小ばかにしておいて、後悔(こうかい)する人。それがサンショウウオかな。強がり言っている人でも、弱いところがある。そんなところに笑いや悲しさがある。

 斉藤 自分勝手(じぶんかって)なサンショウウオだが、弱いところや優(やさ)しい面(めん)も出ている。一生懸命努力(いっしょうけんめいどりょく)している人を、あざ笑う人はだめだ。そんなことも教えられた。

 長谷川 岩屋に閉じ込められてけんかし続(つづ)けたカエルとサンショウウオは最後(さいご)、お互いに許し合うので、少しホッとした。

 長田 「ああ寒(さむ)いほどひとりぼっちだ!」とつぶやくサンショウウオがかわいそう。何年も他(ほか)の生き物と話をしたことも関(かか)わりをもったこともなくひとりぼっちだったから。人間だって同じこと。他人と関わりをもつことがなければ、心の底(そこ)からひとりぼっちになる。人は、周(まわ)りの人と関わりを持(も)てば持つほど、人の心は温(あたた)かくなるんだと思う。

  (構成(こうせい)・浦上豊成(うらかみほうせい))

感想

 長谷川(はせがわ) 自分で考(かんが)えてはきたが、みんなの感想(かんそう)を聞いてなるほどと思った。

 斉藤(さいとう) サンショウウオを見たことがない人は、この話をイメージしにくいと思う。

 丸山(まるやま) みんなの意見(いけん)や感想を聞いて考えが深(ふか)まった。楽しい経験だった。

 長田(ながた) 自分勝手はだめなんだけど、サンショウウオの気持ちはよく分(わ)かる。

 山椒魚(さんしょううお) 広島県(ひろしまけん)生まれの直木賞作家(なおきしょうさっか)、井伏鱒二(いぶせますじ)(1898〜1993年)の初期(しょき)の短編(たんぺん)で、代表(だいひょう)作の一つ。作品(さくひん)は自分のすみかである岩屋(いわや)から成長(せいちょう)しすぎて出られなくなったサンショウウオの悲喜劇(ひきげき)をユーモラスに描(えが)いた。作品には、小魚(こざかな)や小エビ、カエルなどが登場(とうじょう)し、サンショウウオとのやりとりがこっけいで風刺的(ふうしてき)。その底(そこ)には、作者(さくしゃ)の厳(きび)しく冷静(れいせい)な人間観察(かんさつ)の目が光(ひか)っていると評(ひょう)される。

 

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