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【楽しむ】最高齢アプリ開発者 ケセラセラ

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 内裏びな、三人官女、五人ばやし、随身を「ひな壇」の正しい位置に飾るスマホゲーム「hinadan」。説明書きには「80過ぎのオババが作った」とある。世界最高齢アイフォーンアプリ開発者、若宮正子さん(83)=神奈川県藤沢市=が手掛けたものだ。

「80過ぎ オババが制作」

 2年前の秋、高齢者が楽しめるスマホゲームがないと思い、会員制交流サイト(SNS)で知り合った若い友人にお願いした。「年寄り向けアプリを作ってよ」。返ってきたのは「お年寄りの好みが分からない。自分で作ってみては」。その言葉を真に受けた。

 毎年3月、全国の会場をネットでつなぐ「電脳ひな祭り」に参加していた。「そこで、完成をお披露目できたら」と、ひな人形を使ったゲームにしようと思ったという。

 銀行を定年退職後、パソコンをたしなんではいたが、プログラミングは初の試み。入門書を手に、若い友達にネット電話などで教えを請うたが、なかなかに難しい。

 そこからが「若宮流」。「ダメならダメでいいや。義務じゃないし。私は何でもそう。ケセラセラのたちなんです。気楽な、前向きというか」。根は詰めず、空いた時間などを利用して約半年で完成させた。

 人形にタッチした後、ひな壇にタッチして全12体を定位置に動かす。何度失敗してもゲームオーバーにはならないところが良い。高齢者が難しい「スワイプ」(画面に触れたまま指を滑らせる行為)は必要ない。操作は簡単、何度も飽きずにやれ、「ぼけ防止」にもってこい。「日本っぽさ」も受け、世界で8万6000のダウンロードがあった。

年を取るほど面白い

 昨年、米アップル本社、国連に招かれ、英語で演説した。「60歳になるとますますおもしろくなる、と言った人がいたけど、70歳はもっと、80歳はもっとおもしろい」

 「hinadan」がきっかけでプログラミングを始める高齢者が増えたことがうれしい。高齢者こそ、パソコンやスマホ、ネットに親しむべきだと思っているから。足腰が弱っても遠くの人とも交流でき、孤独にならずに済む。物忘れはAIが助けてくれる。

 少々、アドバイス。「日本人はマジメで、教養のため、とか思うけど、パソコンは学ぶものじゃない。楽しむもの。ダメならやめればいい」

創造的でありたい

 今は、獅子舞ロボットのプログラムを制作中。やりたいことが、どんどん増える。「創造的でありたいんです」 (小坂井文彦)

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小坂井記者もやってみました!

 「誰でも作れますよ。高卒の私でもできたんだから」。そう言われ、「1カ月で何とか形になるだろう」と安易な気持ちでアプリ開発を始めたが、甘くなかった。

 アプリを動かすため、プログラムを書かなければならない。それも、日本語ではなく、全くなじみのないコンピューター言語で。

 若宮さんも使った「やさしくはじめるiPhoneアプリ作りの教科書(森巧尚著)」を手に始めたが、変数の打ち込みなど文系の初心者には難易度が高い。「やめればいい」というアドバイスがなければ投げ出しそうになる。

 1カ月という目標は早々と放棄し、楽しむことを優先した。基礎の勉強としてやったのは「特定のホームページを表示する」「足し算」アプリ作り。教科書に書かれた通りにプログラムをしただけだが、実際に動くとうれしい。

 そういえば、ウィンドウズ95もアイフォーンも適当にいじって操作を覚えた。勉強と思えば辛いが、遊びなら、何とか続けられそうだ。

 

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