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北経随想|アジア随想

「シェア」と「循環」 数馬嘉一郎

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 「心和らぐ清酒(さけ)造り 心華やぐ会社(いえ)作り 心豊かな能登(まち)創り」。これは数馬酒造の経営理念であり、あり方です。故郷の石川県能登町宇出津の酒蔵を継いで五年になる今、世界農業遺産の「能登」で日本酒と向き合うことに、改めて大きな意義を感じています。

 ご存じのように、酒は自然の恵みを原材料にできています。弊社では現在ほぼ全ての原料米に能登産米を採用しています。仕込み水は旧柳田村の山の湧き水をくんでいます。酒造りはまさしく、この土地に生かされているなりわいです。美しい能登の里山里海を守り、次世代につないでいくことは酒造りに関わる者としての自然への恩返しであり、使命のように感じています。

 そのような思いから三年前、水田作りからの酒造りを始めました。能登の耕作放棄地を開墾し、栽培した酒米で酒を仕上げるのです。契約農家の協力で始めた取り組みでしたが、この活動は想像以上の共感を得ることとなり、今では学生団体、酒販店、日本酒ベンチャー企業、能登の地域団体が開墾作業に協力をしてくださる広がりとなりました。また、耕作放棄地だった土地を預けてくださる元農家の方々にも、多く出会うことができました。

 能登をはじめとした地域の課題を、酒造りというなりわいを通して解決していくことは酒蔵の経営者としての本望です。資源、時間、人材、価値観、あらゆることを仲間とシェアし、どこにもひずみのない循環型のものづくりを続けたいと思います。「シェア」と「循環」をキーワードに、持続可能な酒造りを目指していくことは、能登の里山里海を次世代につなぐための、地域に生きる酒蔵のあり方だと考えています。  (数馬酒造代表取締役社長)

 かずま・かいちろう 1986年、石川県能登町生まれ。大学卒業後、都内のコンサルティング会社で勤務して2011年2月にUターン。同年6月、実家の酒蔵の5代目社長に就任した。29歳。

 

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