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北経随想|アジア随想

内川と古民家カフェ 明石博之

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 富山県に移住した四年半前、奇跡の風景に出会った。そこは、北前船で栄えた港町の歴史を背景に、漁師の営みを文化として感じる新湊内川。半世紀もの間、意図して開発の手から逃れてきたような、そんな先見性さえ感じる。

 全国のあちらこちらの地域でまちづくりに関わった人間から見ると、他に例を見ないほど、感性をふるわせてくれるコンテンツがいっぱい詰まった空間なのだ。ゆるくカーブをした川に沿って、間口の狭い町家が、屋根を重なり合わせながら並んでいる。一見すると、お隣との境界がよくわからない家もある。そして生まれたのが、空との境界にできた、ギザギザのシルエット。なぜここが、観光地になっていないのかが不思議なくらいだ。

 この魅力的なまちが、空き家の増加で困っていると知ったのは、その後のこと。ショックを受けると同時に、急に、自分ができることは何かと考えるようになった。その答えが、空き家の古民家をカフェにした「uchikawa六角堂」だった。

 一時は、取り壊しが検討されていたという築七十年の畳屋に、いろいろな方のご縁でたどり着いた。内川が見えるこの場所を、地域の小さな玄関口にしようと、カフェを開業した。古い民家もこんなにオシャレに生まれ変わる、というモデルにしたい思いもあった。

 カフェという拠点を存分に活(い)かして、地域の情報発信やまちを楽しむ活動を続けたい。ありがたいことに、二〇一四年度の「うるおい環境とやま賞(風の賞)」をいただいた。涙が出るほど嬉(うれ)しかった。内川は、地元の人が思う以上に、底知れぬ魅力があることを、もっと伝えていきたい。次の目標は、内川沿いに住むことだ。想像するとワクワクする。 (地域交流センター企画代表取締役)

 あかし・ひろゆき 1971年広島県因島市(現・尾道市)生まれ。95年多摩美術大卒。96年地域交流センター企画入社。国の委託プロジェクト従事などを経て、2010年から現職。

 

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