トップ > 北陸中日新聞から > 北陸けいざい > 北経随想|アジア随想 > 記事

ここから本文

北経随想|アジア随想

日本酒 世界へ発信 鹿野博通

写真

 鹿野酒造(石川県加賀市八日市町)の創業は、江戸後期の一八一九(文政二)年。弊社のお酒の銘柄である「常(じょう)きげん」という名は、ある年の大豊作を村人たちと祝う席で、四代目当主が「八重菊や酒もほどよし常きげん」と一句詠んだことに由来します。

 七代目の私が家業を継ごうと思うようになったのは、少年時代の記憶にさかのぼります。祖母から口癖のように「あなたは造り酒屋の息子なのだから、酒造りを学び、将来は家業を継ぎなさい」と言われ続けてきたことがきっかけでした。

 実際に酒造業に携わってみて、酒造りとはつくづく大変な作業だと思い知らされました。日本酒の仕込みは、冬の寒い時期の約半年間に集中して行われます。杜氏(とうじ)や蔵人たちは寝食を共にし、ゆっくりと休む間もなく、二十四時間体制で酒造りに没頭します。本当に蔵人の方々には頭が下がる思いです。

 弊社の酒造りへのこだわりは、古来から伝わる伝統製法である「山廃仕込み」を行っていることです。この製法は、通常の仕込みに比べて倍の日数を要し、また、非常に高度な技術を必要とします。「山廃仕込み」により出来上がったお酒は、米のうま味を十分に味わうことができ、とてもきれのある深い味わいに仕上がります。

 昨今、日本酒業界にはかつてないほどの追い風が吹いています。「和食」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたことや、六年後の東京オリンピック開催決定により、日本の食文化は世界から大変注目されています。

 これからは、日本酒の素晴らしさを世界中の人々に向けて発信していくことがさらなる目標です。そして、日本の伝統文化である日本酒を後世へと引き継いでいくことが私の使命だと考えております。 (鹿野酒造代表取締役)

 かの・ひろみち 1973(昭和48)年、石川県加賀市生まれ。96年、東京農業大農学部卒。東京都内の商社勤務を経て、99年に清酒「常きげん」蔵元の鹿野酒造に入社し、専務取締役に。2012年から現職。

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索