トップ > 北陸中日新聞から > 北陸けいざい > 北経随想|アジア随想 > 記事

ここから本文

北経随想|アジア随想

危機突破へ産地結束 天池源受

写真

 優れた製造技術を持つ国内企業が集まるものづくり日本大賞で表彰を受け、先日発表会に出席しました。そこで驚いたのはそれぞれの技術力。中でも、受賞企業の四分の一が中京圏で、ものづくりへの意識の高さが印象的でした。

 例えば、従来の倍以上の吸水性を持つタオルを開発した岐阜県の中小企業。伸び縮みしやすい特殊な糸を開発し、糸と糸の間に水をためる技術ということです。繊維を手掛ける天池合繊(石川県七尾市)としても身近に感じました。

 天池合繊は二〇〇六年に、世界一軽くて薄い生地「天女の羽衣」を発表。糸の細さは通常の衣料用の約十分の一で、縦糸に横糸を通すとすぐに切れてしまうなど、品質を確立するまでに苦労も。いよいよ製品化となった直後、取引先の原糸部門が売却され、販売まで自ら手掛けることになりました。ヨーロッパの市場で注目を浴び、今では生地の販売の八割は海外です。

 二十年以上前、繊維は能登の基幹産業でした。私たちは設備投資を繰り返し、生産量を増やすことで景気悪化に対応してきましたが、追いつかずに撤退する企業が続々。代わって安価な海外製品が台頭し始めました。

 業界の衰退に危機感を抱いています。奮闘している周囲の中小企業は炭素繊維など、それぞれ独自の技術を持っている。しかし、これからは産地としてタッグを組んでやっていかないと。日本は資源のない国。織ることができても、機料品や部品の調達ができなくては困ります。

 中小企業は大手と違って、直接売りに行く知名度はない。国の後押しが必要です。販売や輸出のノウハウ、軌道に乗るまでの補助金など、業界としても制度を活用していかなければ伸びません。

 日本の電化製品はアジアの観光客がわざわざ買い付けにくるほどの人気があり、まさにジャパンブランド。しかし最近では、日本製の部品を使った韓国などの電化製品が売れ始め、ジャパンブランドが取られてしまった感があります。日本はPRが遅れている。業界が長く生きていくためには、ブランド化が欠かせません。

 (天池合繊社長)

 あまいけ・もとつぐ 1955(昭和30)年、石川県七尾市生まれ。中京大経営学部卒業後、繊維会社社員を経て、81年に天池合繊入社。2001年から社長。県織物工業協同組合幹事などを務める。

 

この記事を印刷する

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索