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北経随想|アジア随想

公衆浴場の使命 松永日出男

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 石川県野々市市で家族が経営する「ぽかぽか御経塚の湯」が、災害時に入浴支援施設として使用してもらうことを内容とした協定を、同市との間でことし二月に結びました。被災者だけでなく、全国各地から支援に訪れる方にも入浴施設を開放することにしています。

 振り返ってみれば、一九九五年の阪神淡路大震災をはじめとして中越沖地震、能登半島地震、東日本大震災と、いち早く被災地へ足を運んで、自らの目で現地の状況を確認してきました。

 何よりも、被災された方が風呂につかった時に見せた笑顔が忘れられません。食べるものが届き、住む場所ができ、そしてお風呂へ入りたい−という気持ちになる。その時に、入浴できるように組合として支えていくべきだと、常々話をしています。

 東日本大震災以降、省エネの発想も欠かせません。個人的なことではありますが、経営する銭湯で二年前から、二酸化炭素(CO2)の削減に取り組んでいます。油を薪に替えて年間で五百トンのCO2削減につながり、節電管理の省エネ機器の導入などで、知事から環境保全活動の功労者表彰をいただきました。

 省エネの観点でいえば、銭湯は省エネに役立つという自負があります。家族が家で別々の時間に入るより、一緒に入ることでエコにつながります。組合の金沢支部は毎月第一日曜を子どもふれあい入浴デーとして、無料開放しています。

 銭湯の効果は省エネだけではありません。社会的マナーの育成の場にもなります。体の洗い方や湯船への入り方など、伝統的な生活や文化の継承になり、子どもと高齢者との裸の付き合いも生まれます。

 ぜひ、銭湯の役割を見直してほしい。人を癒やしてきた銭湯は地球にもやさしいということを。

 銭湯として何ができるのか。手ぬぐいやシャンプー、せっけんなどは常に備蓄し、防災用のヘルメットも用意しています。浅野川水害の時は、組合員さんがポンプの入れ替えに奔走しました。石川県は災害は少ないと言われますが、何があるか分かりません。銭湯の立ち位置をしっかりしていこうと組合員で話し合ってます。公衆浴場というように「公衆」の名前がついているからには、インフラを支える職業であると自覚しています。

 (石川県公衆浴場業生活衛生同業組合理事長)

 まつなが・ひでお 1950(昭和25)年、金沢市生まれ。金沢高校を卒業後、豆腐店やスポーツ器具メーカー、設備工事業などを経て、82年に「ユーアンドゆ」を創業。石川県公衆浴場業生活衛生同業組合理事長は3期目。

 

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