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北経随想|アジア随想

早朝講話3年目 法師善五郎

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 旅館法師(石川県小松市粟津町)の歴史は、白山の開祖・泰澄大師が粟津温泉を発見したとされる七一八(養老二)年から始まります。泰澄大師が弟子に、湯治宿として任せたのが法師の始まりです。最近はデフレの影響で、合理的な手法で料金を低く抑える旅館が増え、苦戦が続いています。来春には消費税も上がるかもしれません。耐え忍ぶこの時期に、伝統ある法師だからこそできることがあります。

 昨年亡くなった長男寛(享年四十六歳)に生前、肩を押されて始めた法師の宿泊者への早朝講話が、三年目を迎えました。

 毎朝午前六時四十五分から一時間、宿泊者に、粟津温泉の歴史や泰澄大師など北陸の伝統や文化についてお話をさせていただいております。お客さんからお礼の手紙をもらったり、「こんな歴史があるとは知らなかった」と感想をいただいたりすることで、こちらも学ぶことが多く、ありがたいことです。

 きっかけは、二年前の東日本大震災でした。東北で一万五千人以上が亡くなり、現在も自宅に戻れない人が多くいます。新聞やテレビで被害状況を知るうちに、自分たちが生かされている存在であり、自然や旅館業ができることに感謝することが大事だと気付かされました。現地で、復興支援のお手伝いをと考えましたが、距離もあることから、まずは旅館として何ができるかを考えました。創業約千三百年の歴史を持つ法師だからこそできることは、粟津温泉を訪れた人たちに少しでも多くの文化を伝えることだと気付かされました。

 寛の発案でした。「何でもいいから話してくれ」と震災直後に頼まれました。震災から九日後の三月二十日から始めました。

 五年後には粟津温泉千三百年祭事業があります。人々の心と体を癒やすという旅館の目的は、千三百年前も今も変わりません。どんな工夫が必要なのか今後も考えていく必要があります。

 (旅館「法師」四十六代目当主)

 ほうし・ぜんごろう 1938(昭和13)年石川県小松市生まれ。慶応大法学部卒業後、国際観光旅館連盟勤務を経て、42歳で小松市粟津温泉の老舗旅館「法師」46代目法師善五郎を襲名。粟津温泉旅館協同組合理事。

 

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