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北経随想|アジア随想

大切な文化の醸成 掛田英治

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 二〇〇六年八月に和食飲食店を開業し今、ようやく七年目を迎えております。私が飲食業界に入ったのは高校卒業後、専門学校を経てからなので十九歳の時です。現在三十九歳となりますので、この業界に従事するようになり、ちょうど二十年の月日が流れました。

 振り返ってみると、ここ二十年は飲食業界全般のマーケットが縮小してきた時代であります。外食そのもののニーズが少しずつ減少していくなか、何がこの業界のイニシアチブを取ってきたのかを考えると、一過性のブームと低価格路線であると私は考えています。この二つのテーマを追いかける形で、飲食業界は動いてきたので、資本力のある大手外食企業の地方進出は目覚ましいものがあったのではないでしょうか。

 私のような個人店が一過性のブームを追えば、さまざまな投資が発生しますし、もちろん低価格競争となれば資本力とボリューム交渉力のある大手企業にかなうはずもありません。そこで私が大事にしなくてはいけないと思う事は、さまざまな文化の醸成です。文化といってもさまざまあると思うので、全てを書ききれませんが、『お酒を粋に飲む』『時間や空間を愉(たの)しむ』『その土地の食べ物と風土を共に愉しむ』などがあると思います。

 いったい何を言っているのだ?と言われそうですが、一般的なセオリーからすれば「差別化」ということになるのでしょう。しかし、一過性のブームが飲食業界に蔓延(まんえん)する限り、消費者のニーズは大手チェーン店が変わらず一手に引き受ける事になるでしょう。

 そしてアルコールの消費が全般的に落ち込む中、ビールの出荷量だけを考えてみても、家庭消費が六割で外食サービスでの消費が四割と、最盛期とは割合が逆転してしまいました。CМを見ても自宅飲みやバーベキューなど家庭消費のものばかりです。

 今後も続くであろう厳しい時代に、私のような個人店は他の個人店や飲料メーカー、そして生産者の方や取引業者と共に、さまざまな文化を醸成し、個人店で消費するといった文化を再構築し、消費スタイルそのものを改革するという事を行っていかなくてはいけない時代になったのだと思います。

 (粋庵(すいあん)代表)

 かけだ・えいじ 1974(昭和49)年、石川県小松市生まれ。小松工業高校卒業後、専門学校をへて市内の「割烹(かっぽう)有川」で修業を始める。2006年、日本料理店「粋庵(すいあん)」を開店。11年、JR小松駅前に串揚げ店「いやさか」を開店。NPOまちづくり小松理事。小松うどんつるつる創研主任研究員。

 

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