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北経随想|アジア随想

これからの建築界 藤井均

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 真摯(しんし)に建築設計に取り組んでいる人間にとって耳を疑うニュースが二〇〇五年十一月、飛び込んできた。構造計算偽装事件だった。

 発注者のデベロッパーが、消費者不在のコスト至上主義のもと、コスト削減や工期の短縮など、設計者や施工者に求めた結果だといわれている。その後、建築基準法や建築士法が改正され、構造計算の第三者機関によるチェックの義務化や建築士の資質向上、講習の義務化、罰則の強化など再発防止策が次々と施行された。

 しかし、その後も「建築士なりすまし」が発覚した。これらは現行の建築士制度には、資格法である建築士法しかなく、建築士事務所が行う設計などの業に関する規定が不十分なためだといわれている。すなわち、「設計業法」のようなルールがないのだ。

 消費者の保護や建築の質の向上、設計業務の適正化を実現するため「建築士事務所法」の早急な制定が必要だと考えられている。

 一二年暮れの衆院選で誕生した新政権は「アベノミクス」と称される政策でスタートを切った。震災復興をメーンに、国土強靱(きょうじん)化、社会整備資本の更新、耐震化の推進と業界にとっては歓迎できるメニューばかり。しかし職人がいない。技術者がいない。コストが上がる。事態を打開することは容易ではない。だからこそアクションを起こすことが必要だろう。

 初めに、現場に若い職人が戻って来てくれるような環境を整備することが重要だ。それには一括発注方式から、工種ごとに分離発注して専門工事業者と直接契約するコンストラクション・マネジメントなど、新しい建設システムへの転換も必要と考える。

 そして、人づくりだ。われわれには、次の時代の建築界を担ってくれる後継者を育てる責任がある。「建築は文化」と言われるように、建築が地域やまちなみに果たす役割は大きく、期待もされている。将来に夢や希望、魅力が感じられる地域づくりやまちづくりに貢献できるような建築界を目指さなければならない。(創=そう=建築事務所社長)

 ふじい・ひとし 1958(昭和33)年富山県砺波市生まれ。81年東洋大卒、創(そう)建築事務所(同県高岡市)入社。常務を経て2006年に社長に就任。県建築士事務所協会副会長、県建築設計監理協同組合理事長も務めている。

 

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