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挑戦 北陸財界ものがたり

北陸銀行(5) 広域展開 人材が育つ

北陸銀行の歴史について語る庵栄伸頭取=富山市の同銀行本店で

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 北陸三県と北海道、そして三大都市圏に店舗網を展開している北陸銀行は、それぞれの都道府県に根を下ろす他の地方銀行とは一風異なる存在だ。広域展開は北陸銀の成長にどのような役割を果たし、現在の経営や行員たちの中に生きているのか。新幹線開業で大きく変わる北陸でどう事業展開するのか。庵栄伸(いほりえいしん)頭取に聞いた。

 −広域展開は過去の経営陣が目指していたものか。

 「創業時の人たちが広域展開を意識していたことはなかったと思う。明治初期、北陸には物流に商機を見いだす果敢な精神の持ち主が大勢いた。金沢は国内有数の人口を抱え、農作物も豊富で、他の地域より広域展開に早く乗り出せた。私たちの北海道への展開は人や情報の流れの中で、お金を追い掛けて出て行ったということ。北前船の物流は非常に利ざやが高い半面リスクを伴うものだった」

 −三大都市圏にはどのように広がったのか。 

 「戦後の金融行政は、基本的に本店所在地の都道府県を中心に支店開設を認める形をとってきた。富山に多くの支店を持っていた私どもは石川や福井にはあまり店舗を開けない、というコントロール下に入った。そこで三大都市圏など比較的広範囲なところに開設していく展開をとった。意図してこの形態ができたというのではなく必然がつくったと理解している」

 −広域展開が現在の従業員に与える影響は。

 「気候や風土が違う地域に展開することで人材の育成、鍛錬が行われ、同質化しないのが魅力と考える。三大都市圏ではメガバンクが強く、地域によっては信金の多いエリアもある。融資を実行する上での価格付けも、地域によって全く変わってくる。これが従業員のストレスにもなり、同時に刺激にもなっている」

 −今後の北海道の事業展開は。

 「私どもは北陸銀、北海道銀のどちらの看板も立てていく。北海道は今後の日本の成長拠点になると思う。理由の一つは農業のステージがより上がることだ。最高級のお米が生産・収穫されるようになってきた。もうひとつは温暖化に伴う北極海を通る北海航路の発展だ。現在はエネルギー不足などで産業集積に苦戦しているが、涼しさもあり改善するだろう」

 −一九九〇年代の金融危機で苦しかったことは?

 「九七年十二月からの一カ月半ほどはいくつかの取引先の倒産があり、大口取引銀行として報道された。店頭がざわつき、行員が『北陸銀行は大丈夫です』と説明しても、お金を下ろしていく方々もいた。あれは一番の試練だった。大切なお客さんから『信用できない』と言われることほど悲しいことはない。その後の公的資金注入は、自立するための時間をいただいたものなのでつらさはなかった」

 −新幹線開業に沸く北陸経済をどう盛り上げる。 

 「これまで地域おこしなどをリードしてきたかというと物足りない部分があったかもしれない。新幹線開業で多くの企業が投資に乗り出している。私たちのお客へのアプローチも資金管理型から商売創造型にして、ビジネス拡大を図る際、間に立てる金融機関でありたい。今後は人口減少で企業の人材不足も予想される。教育現場でものづくりの人材育成支援もしていこうと考えている」

  =北陸銀行編おわり

 (飯田安彦、坂本正範、上田融が担当しました)

 

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