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社長を語る

金沢ちとせ珈琲(金沢市) 岩本貴之社長(45) 自家焙煎おいしさ追求

コーヒー豆の自家焙煎をする岩本社長=金沢市の金沢ちとせ珈琲弥生店で

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 シュ、シュ、シュ、シュ−。香ばしい匂いとともに、蒸気機関車のようなリズムで焙煎(ばいせん)機の音が響く。ブレンドを含め二十種類以上のコーヒー豆がずらりと並ぶ弥生店(金沢市)。秒単位で時間を管理し、豆の色、匂いでいり具合を見極める。

 「店に足を運んでくれたお客さまに期待以上のおいしいコーヒーを飲んでもらいたい」。コーヒー専門店の三代目社長に就任して五年目の二〇〇九年、弥生店オープンを機に経営する計三店舗での自家焙煎に踏み切った。

 UCCホールディングス(神戸市)のフランチャイズとして同社の焙煎豆を仕入れていたが「味を決めるポイントは豆の焙煎具合。最初から一貫して自分がいれるコーヒーに責任を持ちたかった」。

 金沢に生まれ、地元の高校を卒業後、挫折を味わった。大学受験に失敗したが「創業者の祖母、二代目の父の背中を見て育った。遅かれ早かれ、店を守るのは自分の役目」。家業を継ぐ決心をした。

 十九歳でユーシーシーフーヅ(東京)に入社し大阪で三年間勤務。東京のコーヒー専門店で一年間働き、一九九〇年の金沢百番街店開業に合わせて店長として金沢に帰った。

 「店長は職人かたぎになりがち。自分のコーヒーに満足してしまう。第三者の判断が必要」と二〇一〇年のUCCコーヒーマスターズに出場した。全国の出場者が抽出技術を競う大会。ペーパードリップ部門の予選を突破したが決勝で涙をのんだ。一一年の大会で優勝し「自分のコーヒーに自信が持てました」。

 翌一二年には国内で百人だけのコーヒー豆鑑定の国際資格「キューグレーダー」を取得。「プロが納得する豆はもちろん、家庭で抽出する最も適した焙煎具合の豆を提供したい」と語り「将来は海外へ豆の買い付けに行きたい」と前を見据える。

 「戦後急速に普及したコーヒー。元気を出したいときも、気持ちを落ち着けたいときも飲む不思議な魅力を広げたい」。その試みの一つとしてコーヒージェラートを商品化。「金沢の食文化とコーヒーの融合にも取り組みたい」と、和菓子とのコラボも模索する。

 店のルーツは一九五〇(昭和二十五)年に金沢市香林坊で開店した「甘味処 千登世(ちとせ)」。戦後の甘いものが乏しい時代に人気店として知られた。弥生店オープンを機に「ちとせ」の名前も復活させた。「創業当時の“ちとせ”のように地域に愛される店に育てたい」

 (基村祐一)

 金沢ちとせ珈琲(コーヒー) 1950(昭和25)年に「甘味処 千登世」として創業。昭和40年代には「喫茶ちとせ」として続き、86年からは「UCCカフェメルカード」に。現在は金沢市内で弥生、香林坊、金沢百番街の3店を展開する。運営会社は88年設立の有限会社「バンボウ」。従業員はアルバイトを含め15人。

 いわもと・たかし 1968(昭和43)年、金沢市生まれ。星稜高校卒。86年にUCCグループのユーシーシーフーヅ(東京)に入社。92年に「金沢ちとせ珈琲」を運営するバンボウに入社し、専務などを経て2005年から現職。

 

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