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社長を語る

ヤマモト塗工(富山市) 山本武良社長(39) 地元愛込め食堂も経営

山本社長が築100年の町家を改築して造った「山元食道」=富山市八尾町鏡町で

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 モットーは「なんでも塗ります」。十年前に父の塗工会社から独立。住宅の柱一本から、おしゃれな飲食店の内装、病院の外壁まで幅広く手掛ける。

 会社の持つ別の顔が、食事や地域活動に利用できるコミュニティーレストラン「山元食道」の経営。両者は一見つながりがなさそうだが、山本さんの中で深く結び付いている。

 地元の富山市八尾町で、三百年以上続く伝統行事「おわら風の盆」に情熱を注いできた。一年間のうち、この三日間は、身も心も三味線弾きになりきる。

 だからこそ、故郷の変化には人一倍敏感だった。高齢者が増え、若者は富山市街に新居を構える。空き家が増え、近隣の家には雪下ろしの負担がのしかかった。「何とかして地域を盛り上げたいし、同じ思いを抱く仲間もいる。その思いを育む場が必要だ」

 二〇〇九年、築百年の二階建ての町家を四カ月間かけて改装。八尾和紙やしっくい、漆など天然素材だけを使った内装の「山元食道」を完成させた。

 天井と壁に使ったしっくいは空気を通し、消臭効果もある。部分的にわらや麻を混ぜることで風合いを変えることもでき、素朴な中にも気品を備える仕上がりにした。

 「昔、八尾の家はどこもかしこも塗られてできていた。漆をぜいたくに重ねる家や柿渋でシンプルに済ませる家…。店を塗工技術のモデルルームにし、歴史の一端に触れてほしかった」と山本さん。店は、地元酒造が催す新酒の試飲会や、おわらの新作衣装の発表会に使われることもある。最近は地元の若者が集まり、街づくりや観光の戦略を語り合う機会も増えてきた。

 山本さんが重視するのは八尾町観光の「泊食分離」。観光客には山元食道などの飲食店で食事し、宿泊は旅館や町家を利用してもらう仕組みだ。

 地域全体にお金が落ちる上、団体客を受け入れる負担が各店に分散するメリットがある。「人口減と高齢化が進む中、拡大型の観光地化は難しい。おわら以外の時期もリピーターが増える街にしたい」と意気込んだ。

 山元食道 店名は7年前に84歳で亡くなった祖母の善さんが町内で53年間営んでいたホルモン鍋店と同じ。「毎晩、町中から人が集まってきたから」とあやかった。新たに雇った4人のスタッフが金、土、日曜のランチと、夜の予約営業を切り盛り。昼は地場野菜を使ったランチ(1000円)、夜は地場産のおわらクリーンポークを使ったしゃぶしゃぶのコース(3000円〜)を提供し、観光客にも親しまれる。

 やまもと・たけよし 1973(昭和48)年、富山市生まれ。高校中退後、父の塗工会社で働き、2002年に「ヤマモト塗工」を創業。従業員は6人。

 

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