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社長を語る

キュービクス(野々市市) 丹野博社長(53) 「患者のため」一肌脱ぐ

がん検査で使う血液を入れる試験管(サンプル)を手にするキュービクスの丹野社長=野々市市末松のキュービクスで

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 「その会社、私がやったらダメですか」

 数ミリリットルの血液で消化器の早期がんを発見する検査システムで急成長する医療ベンチャーは二〇〇三年暮れ、このひと言で生まれることになった。

 外資系医薬品メーカーで医薬情報担当者として金沢市内の病院を十年以上回った後、中部地方を管轄する事業部長をしていたとき、金沢大病院の金子周一教授(消化器内科)から大学の研究成果(臨床データなど)を事業化する人材の紹介を頼まれ、自ら名乗り出た。

 当時の年収は今の三、四倍あったが「病院の先生たちとのパイプを生かして、世の中に役立つことをしよう」と半年後に退職した。直前まで関わったC型肝炎治療のインターフェロン療法で、医学の進歩が患者に役立つ様子を目の当たりにしたことも背中を押した。

 かつての同僚に経理担当の社員になってもらい、〇四年八月に会社をつくったものの「最初は何もやることがなかった」。医学関係の学会運営や外国製薬品のデータ収集などの業務を請け負った。

 現在の中核ビジネスとなるがん検査システムは三年後の〇七年、金沢大で臨床試験が始まったときから本格的に関わる。〇九年に特許を出願、一一年八月から病院に導入し、事業がスタートした。

 臨床試験での発見率は90%以上。内視鏡による検査と比べて体への負担が小さい上、六万〜十万円、三日〜一週間で検査できるのが評判となり「五十以上の医療機関に導入され、月に百五十例程度の検査実績になった」という。

 「今は新規開拓の営業活動で忙しい」と、週の半分は全国の病院を回る。

 並行して四時間、二万〜三万円で検査できる新システム、それに膵臓(すいぞう)や乳房など八つの器官のがんを一度に発見できる次世代型検査の開発にも取り組む。「従業員は七人だが、事業を拡大するにはもっと人材を確保しないと」 (村上豊)

 キュービクス(KUBIX) 金沢大の医療研究成果などをビジネス化する医療ベンチャー。アルファベットの最初のKは金沢、Uは大学(University)の頭文字。本社は石川県野々市市末松の起業家育成施設「いしかわ大学連携インキュベータ(i−BIRD)」内。資本金5700万円。

 たんの・ひろし 1981(昭和56)年富山大工学部工業化学科卒業後、米医薬品メーカーのシェリング・プラウ(現MSD)入社。82〜96年、医薬情報担当として金沢市内などの病院を担当。2004年6月退社、同8月に会社設立。趣味はバドミントンで、大学時代に団体でインカレ出場。今も週2、3回汗を流す。大阪市出身。

 

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