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社長を語る

石川交通(金沢市) 土井正幸社長(62)

「現場主義に努めたい」と語る土井正幸社長=金沢市で

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「現場主義」で変革挑む

 「タクシー業界は厳しさを増すが、十年、二十年後も石川交通がなくならないようにしなければ」。社長に就いて三年目。会社の将来を担う中堅、若手社員の生活を安定させるため、七月に給与体系の見直しを断行した。

 業界で主流の歩合制を取ってきたが、歩合制を残しつつも労働時間管理制を採用した。所定の労働時間を超えると時間外手当を支給する仕組み。「とにかく大勢を乗せてなんぼの歩合制では若者が運転手になりたがらない」。同社の定年は六十五歳で、団塊世代の大量退職を迎えた中、石川県内の業界で先駆けて時間管理制を取り入れた。

 「歩合制だと運転手が法律で定める労働時間を守らない可能性も否定できない。新たな給与体系は法令順守の徹底にもなる」。歩合制に慣れたベテラン運転手から反発もあったが、会社の将来をにらんだ決断だった。

 「生活の足を支える仕事がしたい」と高校生のころから鉄道マンを志した。大学も工学部に進み、地元の名古屋鉄道(名鉄、名古屋市)を選んだ。

 石川交通の親会社でもある名鉄時代は二十年間にわたり労働組合の専従も経験。最後の五年間は委員長を務め、組合員の福利厚生を守る最前線で活動した。「会社が規則を作ったら有無を言わせず下におろせるが、下の意見は会社に上がりにくい。それを伝えるのが労働組合の使命」との一心で走り続けた。

 労働組合が株式会社として運営していた「名鉄会館」の経理を担当したこともあり、決算報告書も自ら作成した。「経営側になったが、決算報告書をすんなり読めたことは経験が生かされた。読めない経営者もいるからね」。規模は小さいが、企業活動の一連の流れを知る機会になった。

 可能な限り現場に足を運ぶことを心掛けている。「ありのままの実態を知り、客観的に判断するため」と、予告なしに営業所を訪れることもしばしば。労組活動と同様に、従業員たちの生の声を知るには「現場主義」が第一と考える。

 「時代に合わせた対応が必要。何もしなければ会社はなくなる」。配車をスムーズにするため全車両に衛星利用測位システム(GPS)を導入したり、タクシーをスマートフォン(多機能携帯電話)の画面操作で呼べるサービスを始めたりした。「行政と連携して過疎地域の高齢者を支援し、安否を確認する福祉タクシーはできないか」。右肩下がりのタクシー業界で、生き残りを懸けた挑戦は続く。 (基村祐一)

 石川交通 1945(昭和20)年設立の北陸最大のタクシー会社。63年に名古屋鉄道グループ入り。資本金は5000万円。従業員は約500人。車両数は317台。2012年3月期決算の売上高は20億8800万円。

 どい・まさゆき 1950(昭和25)年、名古屋市生まれ。新潟大工学部を卒業後、75年に名古屋鉄道に入社。同鉄道労働組合委員長や連合愛知副会長を務めるなど労組活動にも携わった。名鉄交通(名古屋市)の常務を経て、2010年6月から現職。

 

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