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社長を語る

ニュー・アンド・エス(石川県白山市) 西田武次社長(59) 再生技術で環境に貢献

「バッテリー再生事業を通じて環境問題に貢献したい」と話す西田社長=石川県白山市のニュー・アンド・エスで

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 「泥くさい仕事が好きでね。地に足がついているって気がする。ホワイトカラーには、まったく興味がなかった」。大学の同期が大手企業に就職する中、あえて中小の土木建設業者を選んだ。しかも遠く離れた宮城県の田舎町。理由は「東北に浪漫を感じた」。上司の信頼は厚く、新人ながら小さな橋の設計を任された。

 結婚し、「安定した仕事に」という妻の願いを受けて、三年目で予備校講師に転身した。その後、東京に移り、十人余りの講師を率いて数学の専門塾を設立。一年目から七千万〜八千万円を売り上げるなど経営は順調だったが、父が病に倒れ、四十三歳の時にやむなく帰郷した。

 再び振り出しからのスタート。ならば「次は本当にやりたい仕事を」と模索を続けた。そしてある経営セミナーに参加し、バッテリーの不法投棄による土壌汚染が深刻化していることを知る。

 「足尾鉱毒事件に生涯をかけた田中正造にひかれ、小さいころから環境問題への関心は高かった」。さっそく大学時代の恩師の協力を得て、バッテリー再生技術の研究に着手。お金はなく、図書館で専門書を借りては、手あかで真っ黒になるまで読み込んだ。

 二年後、バッテリーの電極盤に付着した不純物を効率よく取り除く画期的な再生技術を開発して創業。トラックのバッテリーの再生から、工場の非常用電源設備へと仕事の幅を広げていった。再生料金は新製品価格の五分の一以下。瞬く間に評判は広がり、仕事が舞い込んだ。

 しかし、やがてバッテリーメーカーが対抗措置として、得意先に対し製品を値下げするケースが相次ぐようになった。「安い高いだけの問題じゃない。再生品を使うことで環境問題に貢献できる」と地道に奉仕の理念を訴えている。

 思いが伝わらず、時にもどかしさを感じることもあるが、心に迷いはない。座右の銘は「則天去私」。「人というのは自己を超えたものに生かされている小さな存在。この仕事に携わったのは運命だ」ととらえ、走り続けるつもりだ。 (瀬戸勝之)

 ニュー・アンド・エス 本社・石川県白山市。1999年設立。バッテリーや蓄電池の再生事業を手掛ける。再生システムが2004年に石川県の「石川ブランド認定商品」に選ばれた。資本金1000万円。従業員8人。

 にしだ・たけじ 1975(昭和50)年に金沢大理学部卒。宮城県内の土木建設会社、数学や化学の予備校講師を経て創業した。金沢市出身。

 

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