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社長を語る

ワールドエコロジー(石川県輪島市) 柴田薫社長(61) 能登移転で“水を得る”

小学校だった木造社屋を背に「やっといい光が見えてきた」と話す柴田社長=石川県輪島市のワールドエコロジーで

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 海水のミネラル分を利用した宅配飲料水原液や洗浄水のメーカーとして東京で創業したワールドエコロジー。十三年前、縁もゆかりもない石川県輪島市に本社を移した。「家賃が安く、原料の海水もそばで手に入る。一石二鳥です」とかつては滝又小学校として使われた木造社屋を背に笑顔を見せる。

 「新しいことに挑戦することが好き」との自己分析通り。教員志望だったが、友禅工房を見学した際に興味が湧き、「私にもできるかも」と路線変更。生まれ育った東京で手描き友禅職人になった。

 バブル崩壊後に着物の需要は低迷。行き詰まりを感じていた一九九五年、父親の知人だった会社創業者で現専務の鴨志田佳夫さん(64)から「会社を手伝わないか」と誘われた。

 「海水からカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分を独自技術で取り出して活用する新しいビジネス」との説明に興味を持ち、転職を決意。その二年後には「私は研究開発に専念するので、君は実務面をやってくれ」と社長に指名され、懸案だった海水の安定確保が初仕事になった。

 石川県にも工場を持っていた取引先の社長に相談したところ、海岸線が長い同県なら取水場所に困らないと薦められた。県庁から紹介されたのが輪島市で、「事務所なら廃校となった小学校跡がある。取水条件もできるだけ希望に沿うようにしたい」と誘われ、即決した。

 当時は事業が過渡期にあり、苦難の連続。金融機関に融資の依頼に行っても、「海水が何の役に立つの?」と事業内容を理解してもらうのに苦労した。

 間もなく、海洋深層水が全国的ブームに。ミネラルウオーターや化粧品に加工され、海水の有用性に注目されたことで同社の事業も軌道に乗り始めた。

 現在は、海水由来の製品を業務用に販売する。宅配用飲料水メーカーにミネラル原液を供給するほか、ホテルの清掃業者向けに洗浄水も開発。五年前には黒字転換し、売上高も右肩上がりにある。「努力の結果が良くもあしくも数字に表れるのが魅力」と社長業が楽しくて仕方ない。

 世は健康、美容ブーム。アトピー性皮膚炎の人が使える肌に優しい入浴剤など新商品を続々、計画している。「この十年は試行錯誤の連続だったが、いい光が見えてきた。輪島へ来て、心底良かったと思っています」

 (網信明)

 ワールドエコロジー 1993年に東京で設立。98年に石川県輪島市に石川工場を設立し、99年に本社を移転した。海洋深層水などの海水からミネラル分を抽出する独自技術を使って、宅配用飲料水向けミネラル濃縮水やマイナスイオン洗浄水、化粧品原液などを製造・販売する。2001年に設立した関連会社の輪風(わふう)堂は、ミネラル入りそうめんや清涼飲料水なども企画販売する。両社合わせて従業員6人。

 しばた・かおる 1951(昭和26)年7月、東京都江戸川区生まれ。共立女子大卒業後、手描き友禅職人を経て、95年にワールドエコロジーに入社し、98年に社長に就任。輪島商工会議所議員も務めている。

 

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