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社長を語る

宮本水産(石川県七尾市) 宮本哲也社長(48) 選び育み日本一のカキ

カキの選別に力を入れる宮本社長。出荷の最終判断はいつも社長の役目だ=石川県七尾市の宮本水産で

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 「カキで知られる広島や宮城などは、もちろんおいしいものを作ってる。だけど、うちも負けていないとずっと思ってた」。四月に初めて開かれた殻付き生ガキの全国コンテストで、自慢の能登かきが「味で日本一」と認められた。

 能登・七尾湾の養殖業者としては、早くから地元の卸売市場に頼らず、全国の産地と勝負してきた。経営者として挑戦を重ねた延長に“勲章”がある。

 最初の挑戦は十五年ほど前。生ガキの産地直送に乗り出した。父の惣一郎さん(71)が始めた養殖を継いで五年ほど。当時の金沢市中央卸売市場は、殻の大きさだけでカキの値段を決めることが当たり前だった。違う評価軸で勝負したかった。消費者へ直接宅配する方法に切り替えた。

 同時に、身の詰まったカキだけを出荷できるよう、選別を手厚くした。一般的な養殖業者に比べ、選別をする人員は三倍にもなった。一人一人が素手で持ち、大きさと重さのバランスを確認。身が育っていない場合、もう一回海に戻すという当時では新しい方法も試みた。

 北陸三県を中心に支持がじわじわと拡大。「お歳暮で贈りたい」。味と品質の確かさに、そう言ってくれる常連客も出てきた。

 「安定して買ってくれる市場を切ったもんだから、売上高はがくんと減った。だけど、カキが好きだから。自分が良いと思えるものを売っていこうと我慢することにした」

 五〜六年前、もうひとつの転機が訪れる。都市部を中心にオイスターバーが定着してきたころ。東京で展開している経営者が能登かきに目を付けた。年間で数十万個の大口取引が決まった。そのオイスターバーが紹介してくれたのが、四月に開かれた「かき日本一決定戦」だった。

 コンテストで味が評価されたのは、何よりも「能登の海の味がすばらしいから」だと思う。「太平洋に比べて海水の塩分が濃い日本海で育ったカキは、甘味とコクがある」

 この海を守り、見た目も味も磨き上げたカキを作り続ける。目標は、能登かきを世界の人に認められるブランドにすることだ。

 (大島康介)

 宮本水産 1980(昭和55)年創業。資本金1千万円。従業員は期間雇用を含めて6人。マガキ養殖が主力で、岩ガキ養殖も手掛ける。

 みやもと・てつや 1963(昭和38)年、石川県中島町(現七尾市)生まれ。北里大水産学部卒。96年に父から社長を引き継ぐ。能登かき養殖漁業振興会の副会長を務める。

 

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