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社長を語る

輪島観光開発(石川県輪島市) 前田義則社長(70) 教育者経験 経営に生かす

「社長は社員の先生のようなもの」と持論を語る前田義則社長=石川県輪島市のホテル高州園で

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 ブラウン管からあふれる大量の水と、ずぶぬれになって驚く男の子−。インパクトのあるテレビCMで知られる実家の旅館「ホテル高州園」の陣頭指揮を執って四年近く。元は教育者という異色の経歴を持つが、「サービス業も人との信頼関係が重要。教壇に立った経験が役立っている」と感じている。

 「違う世界に身を置きたい」と、大学の理工学部を卒業後は公立高校の数学教師に。問題が解けない生徒を廊下に立たせ、テストの答案用紙は点数を読み上げて返すなど「スパルタ式で生徒の尻をたたいていました」。

 旅館を継いだ実弟で前社長の的場明司(みょうじ)さんからは「旅館を一緒にもり立ててくれないか」とかねて誘われており、定年退職の翌日に専務として入社した。

 経営は順調だったが、二〇〇七年三月に能登半島地震が襲う。キャンセルが相次ぎ、直後の売上高は前年同期比で一気に三割減に。

 地震の影響も落ち着き、反転攻勢に出ようとした翌年、今度は明司さんの急死という試練に直面する。思いがけない社長就任だったが「『トップが代わったから経営が悪くなった』とは言われたくない」と持ち前の負けず嫌いに火が付いた。

 「前年より売上高を落とさない」を目標に、「どうしたら増収にもっていけるか、工夫せよ」と予約や飲食、売店など各部門に号令。「三十八年間も教員で飯を食べてきたから、人の教育には自信があった」といい、目標を達成できなかった担当者を呼んで奮起を促す個別指導をした。

 成果は早々に表れた。例えば売店では、輪島の新鮮な水産加工品で、客が気にする賞味期限を商品別に表示。遠来の客には冷蔵宅配便を勧める積極的な販売促進策で、売上高が前年同期比一・五倍になった月もあった。

 宿泊客からの「苦情ゼロ」も目標に設定。「また来たいと思ってもらうには、元気で心のこもった接客が大原則」と考え、意識の低いスタッフが一人でもいればホテル全体のイメージダウンになる−との危機感を徹底した。

 厳しい指導の一方で、社員にねぎらいの言葉をかけることも心がけている。「社長は、社員のやる気を引き起こす先生のような役回り」が持論。“教え子”と目標達成に向けて努力する日々だ。

 (網信明)

 輪島観光開発 石川県輪島市の朝市通りで食堂を営んでいた創業者が1968(昭和43)年に市内にホテル高州園を開業し、その運営会社として設立された。ホテル高州園は650人が宿泊できる県内有数の規模で、2012年3月期の来館者は8万6000人。朝市通りではグループ会社「駅長さんも太鼓判」を通じて土産物販売にも乗り出している。従業員は116人。

 

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