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社長を語る

能登食品工房(金沢市) 竹内由太郎代表取締役(80) 加賀野菜と肉 新味演出

「失敗から生まれたヒット商品」という豚トロのベーコンを持つ竹内由太郎代表取締役=金沢市で

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 百貨店の千里阪急(大阪府豊中市)の食品売り場の一角。二十三日から始まったイベントコーナーに石川県の伝統野菜を使った三種類の手作りソーセージが並んだ。加賀野菜の金時草に加賀れんこん、能美市特産の加賀丸いも−。パプリカやマッシュルームなどを入れた本場・ドイツのソーセージをヒントに「石川の野菜の振興にもなるのでは」と、二〇〇九年から一年かけて商品化した自信作だ。

 三種類の野菜はそれぞれペースト状にし、豚肉や香辛料などと混ぜ合わせ、冷蔵庫でじっくり熟成した後、羊の腸に詰めて仕上げる。合成保存料や発色剤は一切使っておらず、「日本のソーセージやハムの歴史は浅い。ドイツの製法を忠実に守り本物の味を追求した」。大手百貨店などから引き合いが多く、春先は全国各地を飛び回る日々を送る。

 ドイツのソーセージやハムとの出合いは、戦後間もない昭和二十年代後半にさかのぼる。福井県敦賀市に生まれ、地元の旧制中学校を卒業後、遠い親戚を頼って上京。その後、中学の恩師の紹介で京都のレストランに就職した。「食べ物が少ない時代。だからこそ、おいしい味で人々を楽しませたかった」。料理人の道に入り、そこで出会った先輩からドイツの製法を学んだ。

 一九七三(昭和四十八)年、知り合いから誘われ金沢の地へ。オープンしたてのステーキハウスに勤め、十年ほどは調理長も経験。この時期、ドイツからソーセージなどに関する資料を取り寄せ、本格的な独学も始めた。

 「うちの食肉加工部門を独立してやってくれないか」。九二年、ある会社の社長から頼まれ、「もっと多くの人においしい味を届けたい」と決意。個人経営で能登食品工房を創業し、九七年には有限会社を設立した。

 「飼育期間の長い豚の肉は甘みがあってうまい」と、肉や香辛料などの産地選定には妥協を許さない。余った焼き肉用の豚トロをスモークしたベーコンは「失敗から生まれたヒット商品」と笑い、「もっと個性がある味を」と新商品開発で頭はいっぱい。年内には加賀野菜の打木赤皮甘栗かぼちゃ、五郎島金時(サツマイモ)を使ったソーセージの商品化を目指す。「本物の味を追求し続けたい」。引退はまだ先のようだ。 (基村祐一)

 能登食品工房 1997年7月に有限会社として設立。ハム、ソーセージ、業務用加工食品をはじめ、カレーなどレトルト食品の製造、販売を手掛ける。従業員は15人。

 

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