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社長を語る

コマツ粟津工場(石川県小松市) 佐々木一郎工場長(59) 逆境こそ効率化の好機

社員のモチベーションにも気を配る佐々木工場長(右)=石川県小松市のコマツ粟津工場で

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 「状況が悪い時に何をやるかが大切」。世界がリーマン・ショックの余波に沈んだ二〇〇九年、生産ラインを減らした。苦しまぎれの選択ではなく、当初から考えていた生産性の向上策だった。

 〇八年四月に粟津工場長に就任した当初から「古い設備もあるので、刷新すれば効率が上がる」と思い描いていた。不況は減産でラインを止められる「チャンス」と、設備を更新して不要なラインを統合。生産が回復した後も増設しておらず、効率が上がったことを証明した。

 悪い時こそ−。原点は初任地の川崎工場にさかのぼる。

 水陸両用のブルドーザーに「面白い機械を造っている会社だな」と興味を持ち、一九七五年に大阪大工学部を卒業してコマツに入社。当時、川崎工場は大型ダンプカーを生産していたが、輸出していた旧ソ連の鉱山会社から「部品が壊れる」とクレームが続出した。

 気温が氷点下六〇度にもなる現場では、金属や油脂などあらゆる素材が予想外の変化を起こした。対策を練り続け、寒冷地でも使える積載量百二十トンの超大型ダンプ「HD1200」を開発。現在も主流となっている製品の礎を築いた。

 九九年に総経理(社長)として赴任した中国の現地法人でも、逆境を乗り越えた。月に十〜二十台程度しか売れていなかった商品に関し、社員に顧客の要望を徹底的に吸い上げさせた。ベストセラーの開発につなげ、後に“稼ぎ頭”となる中国市場を開拓した。

 八重苦といわれる今も「電力不足を機に、一層の省エネや生産効率化に取り組める。逆境の方が、社員のモチベーションも高めやすい」と動じない。「状況が悪くなると他人や環境に責任転嫁したくなるけど、それじゃ何も変わらないから」。立て続けに対策をまとめ、一四年度までに消費電力を半減させる目標は実現のめどが立っている。

 中国赴任時、安崎暁氏(現顧問)や坂根正弘氏(現会長)ら歴代トップから受けた言葉が忘れられない。「本社を向いて仕事をせず、現地で感謝されるように」。顧客の要望を素早く製品に反映できる工場を、目指す。

  (吉田通夫)

 コマツ粟津工場 1938年操業。グループの基幹工場の一つで、土砂をトラックに積み込む「ホイールローダー」や整地用の「モーターグレーダー」など中小型の建設機械を製造する。2012年3月期の生産台数は1万4500台、出荷額は1850億円の見通し。従業員は約3100人。駆動装置など世界各地に輸出する重要な部品も担当している。

 

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