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社長を語る

ニシムラジグ(金沢市) 西村明会長(75) 人大切にモノづくり

石川県鉄工機電協会に飾られた中小企業庁長官賞のトロフィー(手前)やグリッパーを紹介する西村会長=金沢市で

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 「勝つことより負けないこと。策略より、愚直にコツコツ正攻法。そして、毎日を悔いなく楽しく」。三つを胸に、鉄工所が集まる金沢市北安江の一角で、一九三三年に祖父が起こした治具や工具を製造する町工場を切り盛りしてきた。

 社長に就いたのは七三年。父が他界していたため、祖父から三十八歳で会社を引き継いだ。「いろいろと嫌な場面も見てきましたわ」。祖父と約二十人いた従業員が対立し、従業員が次々と辞めて工場が閑散としたこともある。

 だから、自身は「会社の都合では従業員は解雇しない」と誓った。ベテラン職人を大切にし、質の高いモノづくりで信頼を勝ち取り、全国五万社に製品を納めるようになった。リーマン・ショック時も人員削減はせず、「だから景気の回復期に素早く対応できた」と振り返る。

 二〇〇七年に会長となって経営の一線から退き、昔から温めていたアイデアの製品化に専念。〇九年に、機械部品の検査工程で直角部分の頂点を簡単に検出する「サミッター」でグッドデザイン賞を初めて受賞した。

 一〇年には、職人が手作業でナットにねじ山を切ったり穴を開けたりする工具を、現代風にデザインした「グリッパー」を開発。ドイツの「iFデザイン賞」など国際的に著名な三つの賞を受賞。日本でも、二年連続でグッドデザイン賞に選ばれ、同賞受賞者の中でも優秀だったとして中小企業庁長官賞も受賞。審査員からは「中小の製造業がデザインを活用して独自の地位を獲得する手本となるだろう」と高い評価を得た。

 新しい製品を編み出す秘訣(ひけつ)は「仕事が好きで、いつも何かを改善しようとしているから」。次回作品も、すでに頭の中にある。

 「世の中のためにと考えているから、いろいろな人が助けてくれて受賞できた。もし自分の利益しか考えていなかったら、他人は手を貸してくれないですよ」。“おかげさまで”の精神で、モノづくりに励み続ける。 (吉田通夫)

 ニシムラジグ 1933年に西村末吉氏が西村鉄工所として創業し、金属部品の加工位置を正確に決める「治具」や、工具の製造を始める。73年にニシムラジグに社名変更。従業員20人。売り上げの半分は他社からの下請け加工で、半分は自社ブランド製品の販売が占める。

 

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