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社長を語る

六星(石川県白山市) 軽部英俊社長(44) 「作り手の顔を前面に」

「作り手の顔が見える商売がうちの強み」と話す軽部社長=石川県白山市で

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 「アバウトな面が気になった」。コメや野菜の生産から加工、販売までを手がける。十四年前、妻の父親で当時社長だった現会長に誘われて入社。大手建材メーカーの営業マンとして「馬車馬のように働く日々」とは大違いの企業体質に面食らった。

 東京生まれで、農業は未知の分野。想定外の誘いだったが「それだけに興味が湧いた」。小さな会社は「個人の努力が業績にすぐに表れる」といったやりがいも思い浮かんだ。

 都会の日常にも疲れを感じ、幼いわが子の生活環境も考え「トータルでプラス面が多い」と決断した。

 新天地では「よくもあしくも都会との違いに戸惑った」が、初体験の農作業は「作業後の疲れが心地よく、これまでの仕事とは違う充実感があった」。

 半面、前の会社と違い、売り上げ目標や事業計画が不明確。申請書や報告書の提出義務もなし。

 社長に十数項目の問題を直訴すると「実は君に会社の体質改善を頼みたかったんだ」。経営改革と営業を任された。

 同僚にコスト意識の必要性を説き、原価計算に基づく価格決定を厳格化。工場ではコンサルタントを呼び、生産計画や衛生管理の徹底を図った。営業は首都圏などに出かけ、スーパーや百貨店の販路拡大に努めた。担当者の交代で突然、取引停止になることもあり、「中小企業の厳しさも味わった」。

 改革で浮かんだ大きな経営課題は、年によって売上高の波がある点。「農業の会社の売りは、作り手の顔が見える点。ここを強く打ち出そう」と、二〇〇五年には本社併設の直売所を改装。加工品はもち類に加え、弁当や和菓子、総菜も追加した。

 狙い通り、安全や安心を求めるリピーター客が増えた。〇七年の社長就任後は、金沢市に直売所を二店出して多店舗化。売上高も安定軌道に乗った。

 日本の農業は、環太平洋連携協定(TPP)などの関税自由化論議もあって環境は厳しい。「価格に見合った満足感をどう提供するか。品質改善努力はますます重要」と肝に銘じる。 (網信明)

 ◇六星◇ 1977年、石川県松任市(現白山市)の農業生産者4人が、耕作請負による農業の大規模経営を目的に中奥六星生産組合を設立。農事組合法人への改組を経て2007年に株式会社化した。170ヘクタールの農地で水稲や野菜を生産し、加工、販売までを手がける。資本金は2430万円、従業員は93人。

 

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