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狙いを聞く

東京五輪需要つかむ トンボ飲料 翠田章男社長

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パウチゼリーの新工場

 飲料メーカーのトンボ飲料(富山市)はパウチ(袋状のソフト容器)型ゼリー飲料の新工場を十四日、本社敷地内で本格稼働させた。最新鋭の工場で東京五輪開催の二〇二〇年度にパウチ飲料の売上高を現在の五十億円から七十億円に伸ばす計画だ。翠田章男社長は「業界をリードするパウチゼリーのパッカー(受託製造企業)を目指す」と自信を見せる。(坂本正範)

 −新工場を持つ理由は。

 「人口が減る中で飲料のマーケットが大きくなる状況でない。当社は自販機用でなく、健康や美容、アスリートの役に立つような高付加価値の飲料を手掛けている。これはまだまだ伸びしろがある。代表的な容器のパウチはここ三年は毎年二割程度増えている。特にゼリー化技術を使った飲料は当社が全国で一割近いシェアがあり一位か二位だろう。これを維持し、パウチゼリーの拡大に伴って得意分野を伸ばそうと考えた。三年後の二一年三月期の全事業の売上高はパウチ中心に百億円を達成したい」

 「高齢者向けや健康・美容志向の商品は以前から需要があり、伸びてもいる。各社はそれ以上に東京五輪・パラリンピックに向けてスポーツやアウトドアで使われる商品を発売している。そうした需要をまかないたい」

 −業界の現状は。

 「薬、化粧品、食品などのメーカーが自販機用でない高付加価値の飲料で新規参入する動きが活発だ。そういう企業は設計、開発からしないといけない。百二十年以上の歴史がある当社がお役に立てる面が多くあると思っている」

 −事業の課題は何か。

 「大きいのは人の確保。正社員は約百二十人で、新工場にかかわる人材と、開発や品質保証などの分野でも足りていない。昨秋から中途採用で二十人を目標に集めている。あと五人以上は必要。高付加価値商品を考えると知的財産など専門的な知識が足りない。企業規模を拡大し、専門的な知識や技術を高めたい」

 −働き方改革はどうか。

 「出産に伴う時短勤務やリフレッシュ休暇制度の取得が徐々に進んでいるが、必要なのは多能工化。一人でしかできない仕事をつくらず、ある程度社員がいれば休めるようにしている。忙しいラインでも他のラインと協力して土日は必ず休めることを実現している。今後は女性の管理職への登用。春の人事で二人の女性課長ができ、計三人になった。これから増えてくる」

 −海外事業は。

 「当社が成長したいと思えば、人口が増え、若い人が多い海外に着目する必要がある。日本の大手飲料メーカーのような合併や買収でなく、日本で売っている高付加価値商品を『ジャパンクオリティー』で売りたい。そういうスタイルしか考えられないが、ハードルが高い。今は東南アジアの一部で少しある程度。海外では飲料は安く売られ、当社のような健康・美容志向や高齢者向けなどの市場はほとんどない。まだ手探り。なかなか時間がかかる」

 みすた・あきお 同志社大商学部卒業。ポッカレモン(当時)を経て1981年にトンボ飲料入社。87年に専務、98年6月から現職。北陸清涼飲料工業協同組合理事長、富山商工会議所副会頭、富山経済同友会幹事、富山市食品衛生協会会長などを務める。趣味は読書。富山市出身。63歳。

会社メモ

 1896(明治29)年に初代社長が富山市総曲輪で創業し、ラムネの製造販売を始めた。現存する国内最古のラムネメーカー。1962年にトンボ飲料設立。2016年5月に創業120年を迎えた。事業は清涼飲料の製造販売や健康飲料の受託製造など。大手からの受託製造が9割だが、自社商品のラムネ、サイダー、子ども向け乾杯用「シャンメリー」、ノンアルコールのスパークリングワイン「セレブレ」も人気。「富山ブラックサイダー」「金沢カレーコーラ」などご当地ドリンクも製造。18年3月期の売上高は75億円。うち7割がパウチ飲料。新工場の稼働でパウチゼリー飲料の年間生産能力が6000万袋に倍増した。本社は富山市下赤江町。

 

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