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狙いを聞く

アジアにカニかまを スギヨ 杉野哲也社長

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 水産加工品メーカーのスギヨ(石川県七尾市)は主力の「カニ風味かまぼこ(カニかま)」の輸出を中国を中心にアジアへ急拡大している。一月には農林水産省の「輸出に取り組む優良事業者表彰」で本年度の農林水産大臣賞に選ばれた。杉野哲也社長は二〇一八年度で十億円を見込む海外事業の売上高を「五年後までに十五億〜二十億円に引き上げたい」と、さらなる飛躍を目指す。 (嶋村光希子)

輸出拡大で農水大臣賞

 −大臣賞に輝いた感想は。

 「光栄なこと。昨年は第六十九回全国蒲鉾品評会で『大人のカニカマ』が農林水産大臣賞を受賞した。二年連続の受賞でうれしい。輸出金額が急増していることが評価されたと思う」

 −海外展開の経緯は。

 「一九七六年に米国にカニかまを初めて輸出した。輸出量は右肩上がりで、八三年ごろをピークに月に千百トンほどとなり、米国市場で七〜八割のシェアがあった。その後、米国法人を立ち上げて現地生産に切り替え、輸出をやめた。当時、急激に円高が進んだものの市場を失うわけにいかず、赤字でも無理して輸出している面があった」

 −アジアの輸出に力を入れた経緯は。

 「二〇〇六年ごろからアジアの食品市場が拡大しているのに着目し、中国、香港、台湾、東南アジアを強化した。現地ではすしなど日本食を好む人が増えている。所得の高まりで品質の良いものは多少値段が高くても購入すると確信した」

 −米国とアジアの違いは。

 「米国では当社は商品を作るのみで、取引は商社に全て任せていた。しかし、それでは市場の状況が分からず、価格設定などの主導権は商社側に握られてしまう。アジアは自前でやろうと輸出部門に専任の人材を確保した。中国人を含む四人が貿易業務や保険など細かく担当し、競争相手の出現や政情などによる市場の変化に臨機応変に対応できる。現地のバイヤーと直接商談することで、食文化やニーズも把握でき、その土地に合った食べ方を提案できるようになった」

 −今後の展望は。

 「地政学的リスクなども踏まえて当社全体の売上高のうち、海外事業は10%以下をキープしながら進めたい。外食チェーン向けの業務用中心から、スーパーなどの小売商品を強化する。新たな地域では高付加価値品のニーズが高まっているイスラム圏へ進出したい」

 −海外事業以外に力を入れていることは。

 「農業事業で、食の安全や食品廃棄などの問題から、食品メーカーとして一次産業に関わり、本物を食べてもらうことを目指したい。能登地方は過疎や耕作放棄地の問題も深刻。一二年に立ち上げた農業生産法人のスギヨファームでメーカーの原点であるモノづくりを極めたい」

 すぎの・てつや 成蹊大工学部を卒業後、1976年にスギヨ入社。社長室長、専務取締役などを経て88年から現職。米国法人のスギヨUSA会長を兼務。七尾商工会議所の副会頭も務める。趣味は映画観賞。福井県勝山市出身。65歳。

 会社メモ 1962年に杉与商店として設立。71年にスギヨに商号変更。72年に世界で初めて販売した「カニ風味かまぼこ」はインスタントラーメンやレトルトカレーとともに「戦後の食品3大発明」と言われるほどに成長した。ビタミンちくわや香り箱、ロイヤルカリブ、うな蒲ちゃんなどヒット商品は多数。従業員は760人。2017年6月期の売上高は約200億円。

 

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