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狙いを聞く

配置薬業界 改革の機に 富山めぐみ製薬 笹山敬輔社長

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3社出資の新会社 始動

 「富山の置き薬」が転換期を迎える中、富山市の配置薬三社が共同出資して昨年末に設立した新会社「富山めぐみ製薬」が四月に事業を始める。社長に就任した内外(ないがい)薬品の笹山敬輔社長は「配置薬が生まれ変わる最後のチャンス」と力を込め、新たなビジネスモデルを模索する。 (織田龍穂)

 −配置薬業界の現状は。

 「生産金額や従事者数は一九九八年ごろがピークで、その後は右肩下がり。配置薬が大家族の世帯向けに人間関係をつくっていくビジネスモデルだったため、単身世帯の増加や、ドラッグストアなどの全国展開で生産高が下がってきた」

 −二十年前から厳しいのに、なぜこのタイミングで会社をつくったのか。

 「国を挙げてセルフメディケーション(軽度な体の不調を自分で手当てすること)を推進していることが大きい。今まで医療機関へ行っていた人が自分で手当てする際、ドラッグストアなどとともに配置薬も大きな役割の担い手になりうる。ただ、そのために消費者のニーズに応えられる体制づくりがなければ、絵に描いた餅になってしまう」

 「業界が縮小傾向の中、各社は配置薬事業の人員や経費を削減し、新たな投資や業態改革もできずにいた。長い伝統を持つ『富山のくすり』ブランドを今後もしっかり根付かせていくには、より強い流通改革や効率化が必要。三社が一体となることで改革を実現することが重要だと判断した」

 −新たなビジネスモデルとは何か。

 「今後の医療では地域包括ケア(高齢者が地域で暮らし続けられるように医療や介護の支援を一体で提供すること)が重要なため、定期的に顧客を訪問し、データを持っている配置従事者がさまざまな医療や健康情報を伝える体制を整える。地域の健康に関わる別の仕事をしている人たちとどう連携するかも大事だ。高齢世帯が増える中で薬だけでなく生活用品など新たな商材の提供もしたい」

 「もう一つはモノのインターネット(IoT)などを生かした効率化。すぐに実現できないが、例えば薬箱の中でどんな薬が使用されたかが瞬時に分かるなど機能面で改革できないか新会社で研究していく」

 −薬価が今年から毎年改定されるなど医薬品業界の動きは激しい。

 「新会社をつくらなくても三社は今後五年、十年と存続できると思うが、配置薬は不採算部門としてなくなってしまう恐れがある。もちろんジェネリック医薬品(後発薬)や受委託はあるが、昔ながらの業態がなくなってはもったいない。だから富山のくすりを再度、現役の顧客のニーズに応えられるものとして生まれ変わらせ、全国に発信することが重要。これは再編のスタート。新会社が結果を出せば、他のメーカーにも声を掛けて連携できる体制づくりを進めたい」

 ささやま・けいすけ 筑波大卒業後、2005年に内外薬品入社。取締役営業本部長などを経て16年4月から同社社長。17年12月に富山めぐみ製薬の社長にも就任した。筑波大大学院博士課程を修了し、日本近代演劇の演劇研究者としても活動している。富山市出身。38歳。

会社メモ

 医薬品製造会社の内外薬品、広貫堂、大協薬品工業の3社が3000万円ずつ共同出資して昨年12月に富山めぐみ製薬を設立。4月から事業を始める。資本金は4500万円、従業員は約90人。新会社が内外薬品の全事業と、ほかの2社の配置薬の卸営業部門を承継する。内外薬品は建物や、解熱鎮痛剤「ケロリン」の商標などを管理する。新会社がケロリンを製造するが、おけなどのグッズには「内外薬品」の名が当面、残る見通し。

 

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