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狙いを聞く

戦略を立て直すとき 北陸経済研究所調査研究部 藤沢和弘部長

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新幹線開業3年の課題

 北陸新幹線が金沢まで開業して三月でもうすぐ丸三年。富山、石川両県の動向と、二〇二三年春に開業が予定されている敦賀(福井県)延伸の課題は何か。北陸経済研究所(富山市)の藤沢和弘調査研究部担当部長は「三年間を総括して戦略を立て直すとき」と指摘する。(坂本正範)

 −富山、石川での動きをあらためてどう考える。

 「石川は一一年の能登の里山里海の世界農業遺産認定やNHKの連続ドラマ『まれ』の放送などで観光需要を掘り起こした。石川の好感度が開業前から相当上がり、『行きたいけど行けない場所』と、じらし作戦のような状況になり、開業でバンと爆発した。戦略的にうまかった。富山は後手後手の感じ。統一的なプロモーションがなかった。三つの駅ができたが準備不足。富山駅は今でも工事中。人が来るか分からない中、戦略を展開しにくく、むしろ東京に人を取られるおそれの方が大きかった」

 「企業にとって『工場をつくるなら北陸』となり、富山や石川に企業が進出した。YKKやコマツの本社機能一部移転や富山県小矢部市にアウトレットモール開業など想定していなかったことが多く、観光以外の効果があった」

 −敦賀開業に向けて北陸が取り組むことは。

 「潤っている地域とそうでない所の偏在が問題点として出てきた。三年間を総括して戦略的に立て直すとき。石川は金沢から能登、加賀へどうやって魅力を散らすか。金沢は日本でなく、パリやニューヨークのように世界の中の観光都市を目指さないと。インバウンド(訪日外国人)を呼び込む力があるから『金沢ブーム』は簡単に終わらないのではないか」

 「富山は全体的な戦略の見直しが必要。高岡市は新幹線のかがやきを止めてくれ、の一点張りのようなところがある。富山市はまちなかに泊まってもらうのが一つの方向。産業観光は有力なコンテンツ。まちなかに薬の工房みたいのがあって見学できるが、内容の完成度は低い。いくつかパッケージしないと観光商品にならない。できることは東京からの修学旅行。どれだけ誘致できるかが課題」

 −これから新幹線が来る福井県はどう取り組めば。

 「観光として必要なコンテンツは年間百万人を呼べること。富山なら立山黒部アルペンルート、福井県は恐竜博物館だろう。世界に通用するものしか残れない。もう一つは県北部の観光圏。恐竜、あわら温泉、東尋坊などがある。加賀市も含めてうまく相互に活用して人を呼ぶことだ」

 「敦賀開業でブームは起こらないだろう。福井や加賀にとって本当の勝負は京都までつながってから。前哨戦としての敦賀開業。ビジネスの世界で五年間は短い。今から考え、新幹線が開業したときビジネスとしては終盤という状態にしておかないといけない」

 ふじさわ かずひろ 大阪府立大経済学部卒業後、1987年に北陸銀行入行。東京調査部、総合事務部、北海道業務部、北陸経済連合会出向などを経て2012年に北陸経済研究所に出向。16年7月から現職。第1回地方シンクタンク協議会論文アワード優秀賞、第4回同最優秀総務大臣賞を受賞。テレビ出演や著書出版のほか、多くの講演をこなす。福井市出身。53歳。

メモ

 北陸銀行(富山市)の創業100周年記念事業の一つとして1978年3月に設立された民間のシンクタンク。今年3月で40周年。富山、石川、福井各県の経済研究・調査、企業経営の指導が主目的。2013年に一般財団法人へ移行。経営理念は「価値共創−北陸の確かな未来を地域とともに創造する」。調査研究部、地域開発調査部、情報開発部などがある。月刊の「北陸経済研究」、年刊の「北陸三県会社要覧」などを発行している。富山市丸の内。

 

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