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狙いを聞く

後継者問題の相談役に 鶴来信金 中西啓一理事長

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事業承継支援 体制強化 

 鶴来信用金庫(石川県白山市)は取引先の事業承継問題の解決に向け、県内の二社と九月に協定を結んだ。団塊の世代に当たる中小企業経営者の引退が相次ぐ中、後継者不在で廃業に追い込まれる企業の増加が懸念されている。中西啓一理事長は自身も「高齢者」の年齢を迎え「このままでは地域が疲弊する」と円滑な事業承継の重要性を訴える。(平野誠也)

 −事業承継の問題をどう捉えているか。

 私も七月に六十五歳になった。高齢者の仲間入りという節目の年で、中小企業の後継者問題が頭にあった。地域の経営者には高齢者が多い。昔から商店や小売業の人たちと取引があるが、後継者不足で事業をやめる人たちが増えていると、ひしひしと感じている。これをどう防ぐかと昨年九月の理事長就任以来考えていた。問題を見過ごすと、その企業で働いていた人たちの雇用問題にもなり、われわれの地域も鶴来信金も疲弊していく。

 −企業の合併・買収(M&A)仲介のため二〇一二年に信金キャピタル(東京)、日本M&Aセンター(同)と提携した。二本立てで取り組むということか。

 従来の提携だけではお客から相談があっても東京から担当者が来て対応するには時間がかかる。どんな相談も、いつでも受けられる体制をつくろうと地元の企業と組んだ。この一カ月、支店ごとに研修を開いた。

 われわれは毎日、お客を訪問しているが、経営者にとって後継者問題はなかなか(金融機関側に)切り出せず、見えてこない。金融や税務面、企業探しなどで支援する体制を取ったことを知ってもらい、鶴来信金はすぐ相談に乗ってくれると思ってもらえたら。

 −事業承継の支援では職員の目利きも問われる。

 その地域になくてはならない企業は必ずある。取引先にはものづくりの小さな下請け企業がたくさんあり、技術もある。「後継者がいないから」と言って事業をやめていいのか。それでは鶴来信金の存在価値がなくなってしまう。職員は地域で生まれ育ち、働いている。お客と毎日顔を合わせ、地域のことを一番知っている。これが一番の強み。金融支援だけでなく経営相談を今まで以上に充実させたい。

 −理事長就任から一年余り。他に力を入れたいことは。

 日銀のマイナス金利政策で金融機関全体が厳しい時代。貸し出しを伸ばそうにも金利競争があって難しい。人口も減少しており、店舗網や機械設備の見直しなど合理化に踏み込まないといけない。ただ「企業は人なり」で、職員は一番大事。これまでもそうだが、先人の思いを引き継ぎ、地域の発展につなげることにしかわれわれの発展はない。

 なかにし・けいいち 金沢工業大卒業後、1975年に入庫。白峰、明光、寺井各支店長を経て、常勤理事や常務理事の時に融資審査を担う審査部長を兼任した。2016年9月から現職。趣味は農作業やゴルフ。石川県白山市出身。65歳。

会社メモ 

 1926年に有限責任鶴来信用組合として発足。52年に鶴来信金に改組した。金沢市から石川県加賀地方に16店を持つ。本部は金沢市。2017年3月期単体のコア業務純益(本業のもうけ)は2500万円、純利益は4600万円。期末の預金残高は1200億円、貸出金残高は611億円。9月に協定を結んだ相手は、税理士らでつくる「はくさんパートナーズ」(白山市)、M&A仲介や事業再生のシナジーコンサルティング(金沢市)。

 

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