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狙いを聞く

悩まぬ職場トイレを オフィストイレのオールジェンダー利用に関する研究会 岩本健良座長

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性的少数者働きやすく

 性的少数者(LGBT)が働きやすい職場にすることが近年、企業の急務となっている。金沢大と、石川県内と東京の二社が今月、共同で発足させた「オフィストイレのオールジェンダー利用に関する研究会」の岩本健良座長(金沢大准教授)は「職場で実際に働く当事者の認識や需要も聞き、どうしたら多くの人が気持ち良くトイレを利用できるかを考えたい」と話す。 (織田龍穂)

 −職場のトイレで困っているのはどんな人か。

 トイレの問題ではLGBTの「T」に当たるトランスジェンダーの人が困っている場合が多い。トランスジェンダーとは生まれたときの戸籍上の性別と、自分自身が認識している性別(性自認)が異なる人のこと。例えば戸籍上は男性だが女性として生活したいと思っている人やその逆、あるいは性自認が男女どちらでもある、どちらでもないと感じている人などがいる。日本では千人に一〜数人いるといわれている。

 −どういう場合に困るのか。

 基本的には自認する性別のトイレを使いたいが、なかなか使いづらい、あるいはできない状況がある。男女共用の「だれでもトイレ」がある職場でも、同僚や上司に見られたくない人もいる。駅など公共のトイレは基本的に知り合いでない人たちが利用するその時だけの話だが、職場は顔見知りが利用する意味で、少しレベルが高い話になる。

 民間企業などの調査によると、トランスジェンダーの三人に二人は職場や学校のトイレ利用でストレスを感じている。トイレ利用を含めたストレスで仕事の能率が落ちるという海外の研究もあるし、我慢することで排せつ障害になる人もいる。トイレのせいで仕事が手に付かなくなるのは本人、職場の双方にとって不幸なことだ。

 −性的マイノリティーに関連した職場のトイレの研究会は全国的にも珍しい。

 ほとんど例がないのではないか。ただ、車いす利用者用や子ども連れの人用などのトイレについては二社による地道な研究、実績がある。研究会は性的マイノリティーのことだけを考えているのではなく、今までの延長として性的マイノリティーも含めた誰もが使いやすいトイレ空間の在り方を考えたい。職場は千差万別で一つの公式でうまくいくわけではないが、ハード面だけでなく、社内の意識を変えるなどソフト面をセットで考えることが重要だ。

 いわもと・たけよし 関西学院大社会学部卒業、北海道大大学院文学研究科修了。金沢大人間社会研究域人間科学系の准教授。専門分野は教育社会学やジェンダー論。主な著書には「にじ色の本棚」(共著、三一書房)、「教育とLGBTIをつなぐ」(共著、青弓社)など。真宗大谷派金沢教区男女共同参画小委員会委員、LGBT法連合会参与を務める。兵庫県西宮市出身。55歳。

メモ 

 金沢大と間仕切りメーカーのコマニー(石川県小松市)、住宅設備機器最大手のリクシル(東京)の3者が共同で研究会を立ち上げた。インターネットのテレビ電話も利用しつつ、月2回程度の頻度で会議を開いている。主力の担当者は各者1人ずつの計3人。調査内容に応じて企業の営業担当者など関係者が加わる。来年3月末までが活動期間で、期末に研究結果の報告会を開く予定。

 

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