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狙いを聞く

英離脱で関税に備え 三光合成 黒田健宗社長

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EUに新拠点確保へ 

 樹脂部品製造の三光合成(富山県南砺市)の黒田健宗社長は、自動車部品などの製造子会社がある英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めたことに「(EU域内の)ハンガリーにある英国子会社の支店を現地法人にする準備を始める」と話す。英国からEUへの輸出に課税される事態に備え、EU域内での新たな製造拠点を確保する考えだ。(網信明)

 −英国子会社の現状はどうか。

 当社の海外事業の中では最も好調。足元はポンド安で、顧客の英国の高級車メーカーと、現地に進出している日系自動車メーカー二社は輸出にドライブがかかって(増加して)、極めて順調なようだ。英国はEUの離脱交渉を間もなく始めるが、実際の離脱が二年程度先。EU域内への輸出に関税がかかるといった影響が出るのは少し先だろう。

 −英国では増産態勢か。

 子会社が忙しくなっている対応として、工場の生産能力を高めていく。大型成形機を四台追加導入して全体の生産能力を15%アップさせる。年内には増設工事が終わる。

 −英国のEU離脱に備えた対策は。

 英国子会社がハンガリーに置く支店を現地法人にする準備を進めていく。(ハンガリーにも製造拠点を置き)有利な条件で現地生産することを考える。売り買いの決済も現在はユーロ建てがメインだが、ポンド建てにすることも検討課題。英国はEU各国と二国間交渉して通商条件を決めることになるだろう。離脱に備えた具体的な対策をとっている取引先はまだない。どんな交渉になるのか様子見だろう。

 −トランプ米大統領が北米自由貿易協定(NAFTA)を再交渉する方針だ。メキシコの子会社をどうするのか。

 日系の自動車関連メーカーが相次いでメキシコに進出し、こなしきれないほどの仕事が来たので工場の生産能力を一・五倍にしたところだ。トランプ大統領就任後も状況は変わらない。NAFTAの見直しは、米国への輸出品目ごとに課税水準を細かく設定するような交渉になるのではないか。国対国の問題であり、トランプ氏が何を言おうが、まとまるまでに結構時間がかかるのではないか。

 −NAFTAの見直しにどう対処する。

 取引先の対応次第だ。現地では米国の自動車大手もがんがん生産しており、(米国への)生産回帰といっても実現に三、四年はかかる。当社の場合はメキシコ工場の労働者の賃金は米工場の十分の一くらい。米国で生産すると米国民が高い商品を買う羽目になり、自分で自分の首を絞めることにもなる。日系メーカーは(生産コストが安い)メキシコを見捨てることはないだろう。輸出は米国向けを減らし、中南米向けを増やしていくように思う。現状はあまり心配していない。

 くろだ・けんそう 1972年に金沢工業大機械工学科を卒業後、入社。英国の子会社社長や常務、営業本部長、専務、副社長などを歴任し、2008年から現職。趣味は山歩き。座右の銘は「こだわらない」で、仮に好ましくないことが起きても「100%プラス思考で受け止め、常に前を向く」。富山県高岡市出身。68歳。

会社メモ 

 1940年に創業し、合成樹脂成形品の製造販売を開始。87年にシンガポールと英国、94年にタイに子会社を設立した。91年に南砺市に富山工場を新設。95年に株式を店頭登録し、現在東証ジャスダック市場に上場。国内のほか、米国、英国、メキシコ、インドなど10の国・地域に進出。自動車や家電向けなどに樹脂成形部品や金型を生産し、2016年5月期の連結売上高は556億円。従業員は約650人。

 

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