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狙いを聞く

松川観光の船頭役に グッドラック 中村孝一社長

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タウン誌発行 40年

 富山県内のタウン誌の先駆け「月刊グッドラックとやま」は今年、創刊四十周年を迎える。発行するグッドラック(富山市)の中村孝一社長は市の中心部を流れる「松川」を観光名所にしようと取り組んで三十年。雑誌の歴史はまちづくりへの挑戦の歴史でもある。北陸新幹線が開業して思うことは「ミニ東京では観光客は来ない」。(坂本正範)

 −富山でなぜタウン誌を出そうと思ったのか。

 小学校高学年のとき、兄から薦められた米国の月刊誌「リーダーズダイジェスト」を熱心に読むようになって心を豊かにする、心の糧になる雑誌だと感動した。中学三年生のころ、こんな雑誌を出したい、こんな仕事がしたいと思った。

 しかし、田舎で雑誌を出すのは夢。専門学校を卒業し、社会人になった。知り合ったフィリピン出身の世界チャンピオンのボクサーの本を書き、一九七五年に出版したら売れた。それで七七年秋に創刊した。最初は米国の出版社と提携した硬派な国際雑誌で詩、短文、小説、格言などを翻訳して載せた。県内の本屋に置いてもらったが、ほとんど売れなかった。今から思えば無謀だった。

 −現在は地元の話題満載の内容だ。

 男性向け週刊誌を出している東京の大手出版社の編集長に「どうすれば売れるのか」と聞いたら、返事は「読者が興味を持つものを」。だから創刊して五年後ぐらいから富山のニュースを入れ始めた。県内の自治体の汚職問題を取り上げると多くの注文が来て驚いた。この路線を五年ぐらい続けたが、何か違うと思い、県民が何を求めているかを考えたら観光とまちづくりになった。

 −松川をアピールしているのはなぜ。

 市の中心部に人を集めるものを欲しがっていた県と富山市に遊覧船の運航を提案したが「できない」という返事だったので「それなら私が会社をつくる」と。八七年に会社を設立した。花見シーズンの二週間に全国から多くの人が訪れ、数年前から欧米人も増えた。ベニスからも観光客が来る。収支は何とかトントン。花見シーズン以外に何をするか、今後どういう形がいいか模索している。

 雑誌と遊覧船をやって観光客が非日常を求めていると分かった。県は富山を全国にPRしているけれど知名度はまだまだ。富山市は戦災に遭って近代的な街になったが、観光客は歴史や文化、伝統を求める。いくら新しいモノを建ててもミニ東京にしかならない。このままでは富山は変わらない。だから松川。神通川(じんづうがわ)からできた歴史がある。松川は財産。遊覧船に乗ったことがない地元の人が多い。市民にもっと知ってほしい。街の中に川があり、そしてカフェ、レストランもある。そういう日本一、世界一の街をつくりたい。

 なかむら・こういち 富山市内の職業訓練校を卒業後、建設業を経て、1977年に「月刊グッドラックとやま」を創刊した。富山市街地を流れる松川で遊覧船を運航する会社「富山観光遊覧船」を87年10月に設立し、社長を務める。2013年に富山市表彰(産業経済功労)を受賞。15年に発足した滝廉太郎研究会の理事長。富山市出身。72歳。

会社メモ

 1961年創業、69年に設立。77年11月に「月刊グッドラックとやま」を創刊した。月刊誌発行のほか、ポスターやパンフレット、社内報、ホームページ、テレビCMの企画、編集、制作など。「富山観光遊覧船」は関連会社。富山を元気づけようと「滝廉太郎記念リバーフェスタとやま」などさまざまなイベントを企画、実施している。89年の第5回NTTタウン誌フェスティバルで大賞奨励賞を受賞。本社は富山市丸の内。

 

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