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狙いを聞く

ひと味違う黒子役に 直源醤油 直江潤一郎社長

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固形開発 海外も注目 

 国内醤油(しょうゆ)産地の一つ、金沢市大野町の直源(なおげん)醤油が開発した粒状の「固形醤油」が国内外から注目を浴びている。名前は「もろみの雫 シーズニングソイソルト」。全日本空輸の国際線ファーストクラスの和食メニューに昨年末から使われている。輸出も好調だ。直江潤一郎社長は「食を取り巻く環境はどんどん変化している。新たな形で醤油の魅力を知ってほしい」と意気込む。 (織田龍穂)

 −固形醤油の開発の経緯は。

 好みの醤油を持ち運び、好きな場所で使ってもらおうという取り組みを以前からしていて、好評。ただ、液体だと開封後にこぼれるのではないかと気になり、気軽に利用できるか課題があった。北陸新幹線の開業を控え、外国人観光客を意識した商品を作ろうと二〇一三年に開発を始め、一四年に発売した。

 −売れ行きはどうか。

 非常に良い。当初は金沢を訪れた外国人向けの商品だったが、現在は米国に輸出している。ニューヨーク、ロサンゼルス、ホノルルの飲食店などで扱ってもらっている。液体醤油の輸出は日本の大手企業や他国産の競合も多く、いくら「品質が良い」と言っても他社の液状商品との違いがなかなか分かりにくい。固形だと製造会社が国内に数社しかなく差別化できる。液がべちゃっとならず、見た目がスマートなのもシェフから好評だ。

 −今後の商品展開は。

 石川県の支援を受けて新製品開発と販路開拓に取り組みたい。ワサビやユズを入れた新味のほか、小分け袋入りにして航空機のエコノミークラスでの提供も目指している。イスラム圏向けのハラール食品として提供する構想もある。液体だとアルコール分を飛ばすのは大変だが、固形ならクリアできる。

 −東急ハンズとのコラボ商品を昨年十月発売した。

 贈答品需要も含め、三十代ぐらいの若者世代をターゲットにしている。醤油系とドレッシング系の計十一種類を展開し、ブドウを入れたドレッシングや、若者好みのピリッと辛口の味付けの醤油がある。東急ハンズ限定で、見た目のかわいらしさを意識した手のひらサイズの五十ミリリットル瓶がある。名古屋や北海道のハンズの店舗で一部商品を販売している。

 −海外や石川県外へのPRを今後も続けるのか。

 もちろん各種展示会などには積極的に取り組む。ただ、やはり軸足は地元。地元の人に普段の料理で使ってもらい、かわいがってもらえることが一番大事だ。本業の醤油の品質をしっかり守り、味の「黒子役」に徹すること。その土台があってこそ、新たな取り組みができる。

 なおえ・じゅんいちろう 東京農業大を卒業後、合同酒精(現オエノンホールディングス)入社。1998年に家業の直源醤油に入り、2002年に専務、13年から現職。8代目当主。地元の大野町商工振興会会長のほか、まちづくりに地元住民で取り組む大野こまちなみ研究所所長も務める。趣味はスポーツ観戦。金沢市出身、48歳。

会社メモ 

 江戸後期の1825(文政8)年に創業した老舗メーカー。もうすぐ創業200年を迎える。銚子、野田、龍野、小豆島と並ぶ国内の醤油の5大産地である金沢市大野の最大手。年間生産量は1800キロリットル(1万石)。内訳は醤油6割、ドレッシング類2割、だし・つゆ1割、その他1割。従業員数は30人。

 

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