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北陸文化

【工芸】日本の工芸 アジア発信 ベトナムでシンポ イセ文化財団

シンポジウムで講演する安村敏信氏(右)とパネリスト=いすれも、ベトナム工業美術大で(イセ文化財団提供)

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 日本の工芸を東南アジア諸国に発信したい−。国内屈指の美術品コレクターで、鶏卵最大手イセ食品グループの伊勢彦信会長(富山県高岡市)が、自らの思いを実践するために企画した工芸シンポジウムが昨年十二月、ベトナム・ハノイのベトナム工業美術大で開かれた。 (山本義之)

 日越外交関係樹立四十五周年を記念したシンポジウム「現代アートの中の伝統との出会い」。伊勢会長が代表理事を務める「イセ文化財団」(東京)と同大が主催。在ベトナム日本国大使館が後援、日本アート評価保存協会(東京)が協力した。

 同大の学生八十人を含む三百十人が参加し、立ち見も出る盛況ぶり。両国の専門家がそれぞれの伝統と現代工芸に絞って議論を深め、両国間の関係促進と信頼を深める機会ともなった。

シンポジウム終了後、両国の工芸作品鑑賞会も開かれた

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 日本側パネリストの安村敏信・同協会事務局長(北斎館館長)は「日本美術の五つの切り口」、河野元昭・静嘉堂文庫美術館館長は「曜変天目と偶然の美」、遠藤水城・京都造形芸術大客員教授は「現代美術と工芸の新たな出会い」について解説した。

 ベトナム側からは同大代理学長で漆芸家のダング・マイ・アンさん(代理学長)が「現代応用美術における伝統の要素」、同大に勤務する陶芸家のファン・タン・ソンさんが「ベトナムセラミックデザインの特性」と題して講演した。

 進行役の安村氏は、日本工芸の特質と思われていた偶然性、シンプリシティー(単純・質素)、歪みを尊重する姿勢がベトナム工芸にもみられた点を挙げ「日越の相違点が判明した一方で、共通性も指摘されたことは重要な成果」と総括した。

 シンポジウム参加者らは熱心に聞き入り「毎年開催してほしい」との要望も出た。大学生を対象に「日本美術を象徴する琳派の魅力」についてレクチャーがあったほか、会場には両国の工芸作品が展示され、鑑賞会も開かれた。

 ベトナム工芸で有名な「安南焼(あんなんやき)」について、伊勢氏は「一生懸命に取り組んでいるが、デザイン性などの水準はまだ低いと思う。シンポの成果を創作活動に生かしてもらいたい」と感想を話した。

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伊勢会長 富裕層の評価と購入期待

今年はマニラ、香港で

 伊勢氏はまた、日本工芸の現状を「いい作品が続々生まれている。作家も職人もこれだけそろった国はない」と指摘。「ベトナムをはじめ東南アジアには富裕層が増えており、日本の工芸を正確に評価し、買い求めてもらえれば幸い」と期待した。

 同様のシンポと展示会は今年、フィリピン・マニラと香港での開催が決まっている。

 

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