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北陸文化

【雨乃日珈琲店だより ソウル・弘大の街角から】(12) 電話もネットもない一日

カードが利用できないお知らせを扉に貼って対応した。現在は、被害を受けたお店や会社が補償をいくらもらえるかが話題となっている=ソウルで

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通信障害意外にも一息

 日本では十二月六日にソフトバンクの通信障害が発生し、一時的に電話やネットが通じない事態となったが、偶然にもその二週間前、こちら弘大周辺でも同様なことが起きていた。

 十一月二十四日の午前、韓国シェア一位の通信大手・KTの阿●支社で火災が発生。それに伴い西大門区、麻浦区、恩平区などソウルの一部エリアにて、KTユーザーは一日から長いところでは三日以上、電話やネットが使えなくなってしまった。

 お店の経営者にとって何より深刻だったのは、カード決済ができないということだ。近年、ソウルではキャッシュレス化が急激に進んでおり、当店でも九割以上の人がカードで支払う状況。コーヒー一杯でも皆、カードで会計を済ませていく。なので当店も、周辺のお店と同様「ただ今カードが利用できません」と入り口に書いて貼っておいたのだが、それを見て帰っていく人が少なからずいた。

(左)「不図」(2018年)。ふと。思いがけず突然起こるさま。

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 それにしても多くの人たちが現金を全く持参していないことに、改めて驚いた。財布すら持たず、ポケットに携帯とカードだけ入れて過ごしているのだ(韓国の財布製造業者は大変だ)。では今回、支払いはどうしたのかといえば、私の銀行口座を教え、そこに直接振り込んでもらった。皆、スマホのアプリを通して、その場でさっと振り込んでくれる(もちろん、お客さんの携帯キャリアがKTでなければ)。現金を引き出せばいいのではと思うが、困ったことに多くのATM機がKTの回線を使っていたそう。私は当初、このような状況ではまともに営業できないのではと焦ってしまったが、韓国の人たちは状況に合わせて、実にフレキシブルに対応するものだなという印象を受けた。

 営業に支障のあった飲食店が多い中で、小規模で常連客の多い当店は、特に被害はなかったと言える。むしろ通信障害のおかげで、ネットのなかった時代に戻り、SNS(会員制交流サイト)も見られずメールもやってこない一日を過ごし、前のめりだった身体のネジを少し緩めることができた。(文・清水 博之、書・池多亜沙子/しみず・ひろゆき=ライター、いけだ・あさこ=金沢市出身、書家)

●はやまへんに見

 

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