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北陸文化

【バン記者・樋口薫の将棋見て歩き】(4) 「将棋まつり」に行ってきました!

多くの観客の前で行われた羽生善治竜王(後方右)と阿久津主税八段の対局=東京都渋谷区の東急百貨店で

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 新聞の「番記者」とは、特定対象者を追う記者のことです。この欄は、政界の「番記者」ならぬ、盤上で戦う囲碁・将棋の世界「棋界」の「バン(盤)記者」がお届けします。

プロ棋士を身近に

 将棋界の夏の風物詩といえば、各地のデパートで開かれる「将棋まつり」です。指導対局やサイン会など、プロ棋士との交流が楽しめる絶好の機会。今月三〜五日に東京・渋谷で開かれた「第五十二回東急将棋まつり」の模様をリポートします。

 都心一帯が猛暑日となった三日昼、初日の会場を訪ねました。東急百貨店東横店の催事場は平日ながら既に満員。和室を模したステージではプロの公開対局が行われ、扇子や書籍の並ぶ物販コーナーも大にぎわい。会期の三日間は、朝から晩まで子ども大会、将棋講座など多彩な催しが無料で楽しめます(指導対局は有料)。

 今回の案内役は、出演者でもある瀬川晶司(しょうじ)五段(48)。棋士になる夢を一度あきらめてサラリーマンになった後、アマ棋界で活躍し、特例でプロに転身したという異色の経歴の持ち主。その半生を描いた映画「泣き虫しょったんの奇跡」が、九月七日から全国ロードショーを控えています。

 将棋まつりの思い出を尋ねると、「小学五年で将棋を始めてから毎年、各地の会場に通いました。藤沢(神奈川県)のデパートの将棋大会で初入賞し、小さな盾と賞状をもらったのが励みになりました」。確かに将棋まつりの子ども大会は、羽生善治竜王(47)ら数多くのトップ棋士を輩出した登竜門です。

 さて、瀬川五段は公開対局のため壇上へ。対戦相手は将棋界のエンターテイナーとして知られる佐藤紳哉七段(40)。「個性派対決」とアナウンスが入ります。

 瀬川五段は自分の映画の宣伝用うちわを取り出し、客席に猛アピール。対する佐藤七段は対局の佳境で、着用していたカツラを外す得意のパフォーマンスを披露し、客席を沸かせます。その勢いのまま佐藤七段が接戦を制し、瀬川五段は「佐藤七段の桂(カツラ)を警戒し過ぎた」と悔しがっていました。公式戦の対局では見られない、棋士のおちゃめな一面をのぞけるのも将棋まつりの魅力です。

 続いてプロによる指導対局。希望者殺到でくじ引きに。百人ほどが並んで、当選はわずか九人でした。こちらは仕方なく会場に掲出されていた「次の一手」(ある局面で好手を見つける問題)を解くことに。十分ほど必死に考え、正解に到達!

 そうこうしているうちに夕刻となり、メインゲストの羽生竜王が登場。会場はあふれんばかりの人で熱気に包まれ、背伸びしてもステージが見えません。A級棋士の阿久津主税(ちから)八段(36)とのトップ対決は終盤、羽生竜王の妙手が一閃(いっせん)。「この手を見られただけでも来たかいがあったなあ」と、足がつりかけながらも感動しました。

 最後に羽生竜王と瀬川五段のトークショーも行われ、好評のうちに閉幕。瀬川五段は「観客の熱気を感じられ、楽しかったです。将棋まつりは棋士にとっても、ファンとじかにふれ合える貴重な機会。今後も呼んでもらえるよう、頑張らないと」と語っていました。

 皆さんもお近くで開催の折には、ぜひ訪ねてみてください。

 

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