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北陸文化

【本】「犀星スタイル」出版 伝わる 文豪の暮らし

犀星の生活や人柄を伝える本「犀星スタイル」を紹介する室生洲々子さん=金沢市千日町の室生犀星記念館で

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 室生犀星の孫で室生犀星記念館(金沢市千日町)の名誉館長を務める室生洲々子(すずこ)さんが、犀星の日常生活や人柄を伝える本「犀星スタイル」(亀鳴屋)を編集、出版した。東京都のイラストレーター武藤良子さんが挿絵を描いた本は「をみなごのための室生家の料理集」(同、2016年)に続き2作目。粋なデザインで画集のように楽しめる。(督あかり)

コラボ2作目

孫娘 室生洲々子さん編集 武藤良子さん挿絵

 「艶布巾(つやぶきん)」や「虫籠(むしかご)」など十九の項目に分け、犀星や洲々子さんの母で随筆家の室生朝子さんの著書からの引用も交え、六十四ページにまとめた。少し気難しくきれい好きだった犀星のエピソードや、別荘があった長野・軽井沢で楽しみにしていた趣味など、さまざまな角度から文豪の人間像を浮き彫りにしている。

 昭和二十三(一九四八)年と同二十七(五二)年の五月に犀星が記した日記を引用した「岡あやめ」では、アヤメの成育状況を記し、めでていたことが分かる。「ギチチ」という項目では、ブラジャーのパッドを巡る犀星と朝子さんのやりとりが淡々と記され、思わず笑ってしまう。

 洲々子さんは「祖父犀星は何が好きで、どう生活していたのかを知ってほしい。若い人に祖父や母の書いた文章にも興味を持ってもらえたら」と思いを語る。

 実物の写真ではなく、イラストにもこだわった。一作目でも挿絵を担当した武藤さん。今回は五月中旬に三日間、初めて金沢を訪れて取材。「写真に残っていない犀星を自由に描きたい」と、城下町の面影が残る町や犀川沿いを歩いた。

武藤良子さんが描いた挿絵(「犀星スタイル」より)

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 「武藤さんは感性が鋭く、意外性があるイラストに驚かされた」と洲々子さん。例えば「天然パーマの黒い髪」という項目。ポスターのように緑色を全面に塗り、犀星の正面の顔型を白くかたどったところに、眼鏡をかけた横顔を描いた。「犀星は写真嫌いで、ある時から横顔で撮るようになった」という話を聞き、思い付いたのだという。

 犀星は「詩人であり、大文豪。お堅いイメージ」だったが、取材を通じて「コンプレックスがいっぱいだけど、それをマイナスにせずに創造につなげていったのだと感じた」と武藤さん。「朝子さんの随筆を読んで、おちゃめな人と分かり、ますます好きになった」とも話す。

 イラストの斬新さが際立つ一方、表紙はシンプルなデザイン。ただ、奥付に犀星が実際に使っていた東京・南馬込の住所入りの名詞を縮小し、犀星の検印をあしらうこだわりも。

 A5判、千円(税・送料別)。(問)室生犀星記念館076(245)1108 

 

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