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北陸文化

【コミュニティシネマ 街中銀幕から】 ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス

 今年十二月にシネモンドは二十周年を迎える。一九八〇年代から二〇〇〇年代末にはミニシアター・ブームとも言える活気があり、その時代を代表するような作品の数々があった。シネモンドの開館以降の作品をいくつか挙げると、オープニング作品のインド映画『ムトゥ踊るマハラジャ』や、当時のミニシアターのメインの観客層だった二〇代の女性を中心に爆発的にヒットした『アメリ』、韓国映画の一大ブームを巻き起こした『シュリ』などが思い出される。

 そんな特別な作品の一つにドキュメンタリー映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』がある。九月一日から上映する『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』は、その十八年ぶりの続編だ。

 『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』は、アメリカを中心に世界のルーツミュージックを掘り下げてきたギタリストのライ・クーダーが、当時九十二歳のギタリストを筆頭にかつて第一線で活躍していたキューバのベテラン歌手や音楽家たちを復活させたバンドのドキュメンタリーだった。

 ライ・クーダーが音楽を担当した『パリ、テキサス』の名匠ヴィム・ヴェンダース監督が、彼らの音楽と人柄にほれ込んでつくった作品で、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にもノミネートされ、全世界で大ヒット。日本でも〇〇年に公開されると、サルサダンスのブームやキューバブームを巻き起こし、社会現象の火付け役となった。

 同名のアルバムもグラミー賞を受賞し、四百万枚を売り上げるという、ワールドミュージックというジャンルでは異例の大ヒットとなった。バンドは世界ツアーも行い、富山県にもやってきたことを覚えている。

 映画公開から十八年たち、ステージでの活躍に終止符を打つと決めた現メンバーが最後の世界ツアーを決行した。その最後の勇姿を、ヴェンダース監督の製作総指揮の元で収めたのが『★アディオス』。すでに亡くなってしまった当時の主要メンバーも多いが、彼らの生前の秘蔵映像を交えながら、これまでの旅路を描く。

 当時『ブエナ・ビスタ』を劇場で見た方も多いだろう。当時の熱気を知っているファンにとって、全国でも映画館が閉館する報が多く聞かれる昨今、スクリーンの中で再会する彼らに、特別な思いが芽生えるのではないだろうか。映画館も観客も歳を重ねていく。映画は変わらない。けれど、かつて出合った作品が映っているスクリーンを眺める観客の心には、きっと自らの人生も映し出されているはずだ。 (シネモンド支配人・上野克)

 

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