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北陸文化

ミンコフスキ次期監督が指揮 「ペレアスとメリザンド」金沢公演

舞台終演後、笑顔で歓声に応えるマルク・ミンコフスキさん(中)=いずれも金沢市の石川県立音楽堂で

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寄稿 潮博恵

コンビ深化に期待

OEK収穫大きい

 オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)が、九月に芸術監督に就任するマルク・ミンコフスキの指揮でドビュッシーの歌劇「ペレアスとメリザンド」を上演した。彼が総監督を務める仏ボルドー国立歌劇場との共同制作で、歌手や制作も今年一月のボルドー公演と同じ布陣。石川県立音楽堂の舞台手前と奥に設置した二枚のスクリーンに投影した映像を生かしたプロダクションは、コンサートホールでここまでできるという驚きを与えるものだった。

 歌手は舞台手前と奥に設けたスペースで演じるが、ステージに上がったオーケストラも視覚デザインの一要素になっている点が面白い。このオペラは詩的なセリフの抑揚をそのまま音楽にしたようなつくりだが、若手で揃(そろ)えた歌手は全員が声も歌唱も非常に高い水準で作品全体を牽引(けんいん)していた。

 演出は二枚のスクリーンに重ねられた映像と最小限の小道具によるシンプルなもの。森や海、暗闇や水などの幻想的なイメージと人物の目や顔、四角い枠の動きなどの映像で表現される登場人物一家のまとわりつくような閉塞(へいそく)感が対置され、夢と現実が交錯したような作品世界を生み出していた。メリザンドの背丈よりも長い髪を放射状の白い光の映像で表現していたのも印象的。ミンコフスキのタクトから紡がれる音楽は色彩に富み、縦にも横にも伸縮自在。OEKも弦と管のブレンドされた豊かな響きで応えていた。

 もっとも二時間半にわたる大作は一回目でいきなり達人の域に到達できるものではなく、ここが両コンビの深化のスタート地点であることを感じさせた点でも芸術監督就任記念公演にふさわしかった。歌劇場との共同制作で新たな収穫を多く得たOEK、ミンコフスキとの今後に期待したい。(うしお・ひろえ=石川県野々市市出身)

映像を駆使した斬新な演出で観衆をひきつけたオペラ「ペレアスとメリザンド」

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ミンコフスキさん会見から

「監督」の役割 変化するか

 オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の芸術監督に就くフランス人指揮者のマルク・ミンコフスキさん(55)。日仏共同制作によるドビュシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」の金沢公演(七月三十日)は、欧州音楽界でも注目を集めた一月のボルドー公演をほぼ再現し、OEKの活動に新たな風を吹き込んだ。今後、芸術監督としてOEKに何をもたらしてくれるのか。 (松岡等)

 七月二十八日、就任決定後、初めて金沢で記者会見したミンコフスキさんは、日本国内で共演を重ねる東京都交響楽団とともにOEKを「フィアンセのような存在」と述べて、親密さをアピールした。

 今後の活動については「これまでの経験を、長いスパンで金沢に持ってくる」と、「これまで取り上げられることが少なかった」というシューマンの交響曲や、自身が一五年からスウェーデンの音楽祭でスタートした、ロレンツォ・ダ・ポンテ台本によるモーツァルトの三大オペラ「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「コジ・ファン・トゥッテ」の上演を挙げた。

 一方で強調したのは、二〇一六年から務めるボルドー国立歌劇場総監督としての立場。「前任者と自分のプロフィルは全く関係がない。ボルドーの総監督としての立場があってこそOEKに会いに来ることができる」と語る。これまでOEKでは、故岩城宏之・永久名誉音楽監督や、岩城さんを引き継いだ前音楽監督の井上道義さんが全面に出て楽団を引っ張ったが、ミンコフスキさんは「定期的にミーティングを持つことでよい関係を続けていきたい」と述べるのにとどめた。創設から三十年を迎えたOEK。「監督」の役割は大きく変化することになりそうだ。

 

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