トップ > 北陸中日新聞から > 北陸文化 > 記事一覧 > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

北陸文化

【能楽おもしろ鑑賞法】20 能「箙」 幻視する好漢の戦いぶり

能「箙」の後シテ。肩の向こうに梅の枝が見える=2009年3月1日、石川県立能楽堂で

写真

 今年この欄では、三番ある勝修羅能のうち「八島」(二月十日付)と「田村」(四月十四日付)を取り上げた。残る「箙(えびら)」が八月四日の「観能の夕べ」で上演される。格安料金で毎週土曜日に楽しめるこの催しで、能を満喫してほしい。

 箙は矢を入れる器。腰のあたりに着ける。源氏の若武者梶原景季(かげすえ)は生田の森で一枝の梅を箙に挿して奮戦。粋な姿に平家方からも称賛された。

 能の粗筋。旅僧(ワキ)が生田の森に来ると若い男(前シテ)が景季の戦いぶりを語る。僧の供養で武者姿の景季の霊(後シテ)が登場し、修羅の厳しさを再現する。

 原典「平家物語」の景季は好漢として描かれる。宇治川の戦いではライバルの佐々木高綱が頼朝の馬に乗っていた。自分も希望したがもらえなかった名馬。察した高綱は「出陣にあたり盗んできた」。景季は「ねたましいが、自分も盗めばよかった」と笑う。その高綱に「君の馬の腹帯が緩んでいるぞ」とだまされ、先陣を奪われてしまう。

 生田では敵陣へ深入りしすぎた。能で描写されるように、馬を射られ、かぶとも撃ち落とされ、敵に囲まれてしまう。父景時が駆けつけ、辛くも救い出されるのだ。勝修羅どころではない。

 原典で人物像を探ると面白さも増す。真っすぐな若武者を感じよう。 (笛)

 ◇観能の夕べ(毎週土曜日午後5時、7月14日以降分、石川県立能楽堂)

 【7月】14日 能「熊坂」(シテ高橋右任)狂言「柿山伏」(シテ山田譲二)

 ▽21日 能「黒塚」(シテ高橋憲正)狂言「魚説法」(シテ吉川真生) ▽28日 能「殺生石」(シテ福岡聡子)狂言「伯母ケ酒」(シテ中尾史生)

 【8月】4日 能「箙」(シテ渡辺茂人)狂言「雷」(シテ炭光太郎) ▽11日 能「百万」(シテ松田若子)狂言「昆布売」(シテ若生敏郎) ▽18日(特別公演) 能「藤」(シテ宝生和英)狂言「簸屑(ひくず)」(シテ能村祐丞)仕舞「阿漕」(シテ大坪喜美雄) ▽25日 能「小鍛冶」(シテ広島克栄)狂言「仏師」(シテ炭哲男)

 ▽入場料=1000円(特別公演は3000円)高校生以下無料(問)同能楽堂=電076(264)2598(能楽堂の駐車場は工事中。石引駐車場を使えば駐車券がもらえる)

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索