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北陸文化

【バン記者・樋口薫の将棋見て歩き】(2) 「日本棋院」ってどんなところ?

日本棋院会館全景

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 先月から始まったこの連載では、最近何かと話題の多い囲碁・将棋界のさまざまな現場を担当記者が訪ね、初心者でも楽しめる情報をお伝えします。初回は将棋会館を訪問しましたが、第二回では、囲碁の総本山である東京・市ケ谷の日本棋院(にほんきいん)にお邪魔しました。

いす席で対局が主流

 JR市ケ谷駅の改札を出てわずか二分。緩い坂の途中に、八階建ての日本棋院会館があります。館内の案内は、人気漫画「ヒカルの碁」の監修を務め、東大で囲碁を教えるなど、普及活動にも熱心な吉原(よしはら)由香里六段(44)にお願いしました。

 玄関を入ると、本紙主催の天元をはじめ七大タイトルを独占している、井山裕太七冠(29)の等身大パネルがお出迎え。「I●GO」「(いつかは)本因坊」といったパネルも用意され、記念撮影もできます。

 この日は木曜日。囲碁界では「手合い日」といい、対局が集中します。棋士にとって決戦の日なのです。館内では四〇局近くの対局があり、エレベーターは大混雑。その中から、女流棋戦「扇興杯(せんこうはい)女流最強戦」の対局を、吉原六段と観戦しました。

 午前十時の開始時刻が近づき、室内の空気が張り詰めていきます。両対局者がじっと瞑想(めいそう)にふけること約五分。館内に「ブー」とブザー音が響き、対局開始。握った碁石が偶数か奇数かを当てる「ニギリ」で手早く先番が決まり、静かに初手が打たれました。

観戦する樋口記者(後方右)と吉原由香里六段(同中央)。左側の牛栄子(にゅうえいこ)二段はいすの上に正座で対局している=東京都千代田区で

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 写真を見て、前回の将棋との違いにお気づきでしょうか。そう、将棋は座敷に正座でしたが、囲碁はいすに座っての対局が多いのです。これは囲碁が中国や韓国でも盛んになり、いす対局が主流になったためです。

 五〜七階の対局場のうち、座敷が残るのは、重要な対局が打たれる特別対局室「幽玄の間」のある五階だけ。六階は四年前、和室から洋室に改装されました。「以前は座敷の方が気合が入ると思っていましたが、最近は慣れてきて、いすの方がいいですね」と吉原六段。実は記者も苦手な正座をしなくて済み、胸をなで下ろしたのでした。

 続いて、一般客向けの売店と対局場がある二階へ。今年二月に全面改装されたばかりで、とてもきれいです。売店には豊富な商品が並び、人気はやはり井山七冠グッズとのこと。一方、吉原六段は「この箸置き、詰め碁になってる!」「このTシャツかわいい!」と、普通にショッピングを楽しんでいました。

 最後は地階の「囲碁殿堂資料館」へ。囲碁が大陸から日本に伝来し、普及した歴史が分かりやすく展示されています。

 おや、奥の掛け軸は囲碁好きで知られる作家、川端康成による「深奥幽玄」の書。これは幽玄の間に飾られているはずでは?「幽玄の間のものはレプリカで、こちらが本物です」と職員さんに教えられ、吉原六段と一緒にびっくり。取材中何度も見ているのに、知らなかった…。

 最後に吉原六段に質問。日本棋院ってどんなところですか?「幼い頃から囲碁をやってきた仲間と今も一緒に仕事ができる場所、居心地のいい空間です。そういう仲間こそが何よりの財産だと、この年になってしみじみ思います」

 日本棋院  日本棋院は1924年創立。本部は東京・永田町から高輪を経て71年、市ケ谷に移った。名古屋市に中部総本部、大阪市に関西総本部を置き、約340人の棋士が所属。50年に独立した関西棋院は別団体で、約140人の棋士が所属する。

 売店の営業は午前10時半〜午後6時。一般対局場は午前11時〜午後6時(木曜のみ午後8時まで)で、1日料金は1340円(各種割引あり)。いずれも年末年始以外は無休。囲碁殿堂資料館は午前11時〜午後5時で月曜(祝日の場合は火曜)が休館。入館無料。

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 新聞の「番記者」とは、特定対象者を追う記者のことです。この欄は、政界の「番記者」ならぬ、盤上で戦う囲碁・将棋の世界「棋界」の「バン(盤)記者」がお届けします。

 

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